RSウイルス(RSV)は乳幼児の気管支肺炎の主要な原因ウイルスである。早産児の呼吸器合併症である慢性肺疾患(BPD)は未熟肺に対しての酸素毒性や長期間の人工呼吸器による機械的刺激により発症するとされている。BPD児はRSV感染により重症化することが知られているが重症化のメカニズムは解明されていない。R4年度はR3年度に引き続き、RSV感染仔マウスの免疫反応の変化を評価した。5週齢(体重12g前後)のBalb/cマウスに1.0×10の7乗pfu/100uLのRSVを含む培地を吸引させ感染させた。連日体重を計測し、感染後2日、4日、7日の肺を取り出し、RNAおよびmicroRNAを抽出し、サイトカインmRNA、microRNAを測定した。なお、RSVを含まない培地を吸引させた群とRSVを紫外線照射で死滅させたものをコントロールとした。感染後1日で、RSV群はコントロールに対し、20%程度の体重減少を認め、その後1週間かけて体重の回復が確認された。感染後、2日、4日、7日のマウス肺を採取し、肺組織中のRNA、microRNAを抽出した。IL-4、IL-13、TGFb1、POSTNの各mRNAが感染群で有意に上昇していた。また、同検体でmicroRNAのmiR-21、miR-155が有意に上昇していることを確認した。前年度までの、BPDマウスモデルにおける実験と合わせ、BPDマウスモデル、RSV感染モデルでの感染後の炎症反応の違いが示された。慢性肺疾患児のRSV感染重症化メカニズム解明にむけた基礎データが得られ、引き続きBPDマウスRSV感染モデルとmicroRNAの関わりについての詳細な検討を継続していく。
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