研究課題
計画実験の基盤となるTGF-β1介在性食道細胞バリア機能障害の分子メカニズムの検討を勧め、転写因子SNAI1の関与についてsiRNA導入を用いたノックダウン検討によりその寄与を証明した。このデータについてはその要約を、日本小児アレルギー学会及び日本アレルギー学会の年次集会で報告することができた。これに加えて、滞米中に確立したヒトSNAI1の免疫組織染色の技術導入につとめ、国内で実施可能な状況を整えつつある。並行して、所属施設の消化器グループが有する小児消化管病理ライブラリーへアクセスし、発現解析に利用できる組織病理標本を選定しつつある。さらに現在学内の高額機器申請においてサイトカインやタンパク発現の網羅的解析が可能なマルチプレックス解析装置の申請を行っており、購入申請が承認されれば細胞培養系を用いたサイトカイン、低分子の網羅的解析における有力なオプションとして利用可能となる予定である。組織検体、便検体、患者血清を用いた小児好酸球性消化管疾患の病態解析に利用できる予定である。これまでの研究実績から、今年度より小児好酸球性消化管疾患の厚労科研野村班に参加することができた。技術的なコラボレーションを学内共同研究施設に依頼しており、タンパク定量や蛍光抗体法の基盤的な技術については在米中と同様の手技が確立しつつある。今後は国内症例の一次培養食道組織に加えて、可能であれば患者細胞を利用した消化管オルガノイド系の確立にチャレンジする計画を立てている。
4: 遅れている
都心部における新型コロナウイルス感染症の緊急対応に直接動員され、完全に研究の時間を失った。現在も所属病院において、PCR検査などのCOVID関連業務に関与している。
医局の所属研究グループの複数の若手医師に、研究協力者として基礎的な予備実験にコミットしてもらう計画を立てている。ただし、COVID-19パンデミックの収束が得られるまでは学内への院外研究員の立ち入りが制限されており、流行がある程度収束してくるまでは実験系の確立になお困難を強いられる可能性がある。米国コロラド小児病院の好酸球性消化管疾患研究プログラムと、技術的なコラボレーションを進めている。
コロナウイルス感染症の拡大により基礎実験施設の利用が不可能となり、大幅に実験の進行が遅延したため。
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