研究課題/領域番号 |
20K16880
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 秀之 東北大学, 大学病院, 特任助手 (40822888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超低出生体重児 / 副腎不全 / 子宮内胎児発育不全 |
研究実績の概要 |
超低出生体重児に発症する相対的副腎不全は,低血圧により重篤な脳白質損傷の原因となる.予防法の確立が求められているが,その病態も未だ明らかではない.子宮内での慢性的な低酸素による胎児発育遅延児において発症率が高いため,胎児の未熟な副腎皮質の発達過程に慢性的な低酸素ストレスが与える影響を熟知する必要がある.そこで本研究では,ヒツジ胎仔を用いた胎仔発育遅延モデルを応用して,胎児期に慢性的な低酸素に曝された早産児のコルチゾール分泌能とその循環動態に与える影響を解析する.ヒトの成育限界期に相当する週数のヒツジ胎仔の肺は著しく未熟であるため,機械的人工換気では管理できない.本研究では,われわれが開発し安定した循環を保持できることを確認した人工胎盤システムにより呼吸管理を行う.それにより未熟な早産仔においても本来の胎盤から切離された状態で解析が可能となる. 本研究はヒツジ胎仔を慢性低酸素負荷と出生前母体ステロイド投与の有無で胎仔を以下の3群に分ける: a) 対照群; b) FGR群; c) FGR+ANS群.これにより子宮内での慢性的な低酸素ストレスが未熟な副腎の発達過程に与える影響を解析する.さらに出生前母体ステロイド投与を加えることが生後の副腎のコルチゾール分泌能をどのように修飾するかを解析する. 令和2年度は対照群6例を実施予定であったが, 2例は妊娠初期に子宮内胎仔死亡となった.そのため4例のヒツジ母獣の子宮動脈に血管内塞栓物質を注入し,胎仔への慢性低酸素負荷を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は対照群6例を実施予定であったが, 2例は妊娠初期に子宮内胎仔死亡となった.そのため4例のヒツジ母獣の子宮動脈に血管内塞栓物質を注入し,胎仔への慢性低酸素負荷を行った.それにより胎仔の子宮内での成長評価,胎盤における梗塞範囲の同定を実施し,1例は剖検に供して副腎組織を採取した.ヒツジの交配が予定通り進まなかったこと,また2例は低酸素負荷により子宮内胎仔死亡となったことにより当初予定されたよりも進捗は遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は胎仔にある程度均等な低酸素を負荷する方法を確立し,病理組織検体の採取を行う予定である.
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