研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH) のうち,遺伝性出血性末梢血管拡張症(Hereditary hemorrhagic telangiectasia: HHT)を合併する症例では,PAH単独症例に比して進行が早く肺血管拡張薬が奏功しにくく,予後不良であることが報告されている.これらの症例ではTGF-β superfamilyに含まれるACVRL1(ALK1),ENG,SMAD4などの遺伝子変異が報告されているが,病態との関連については不明な点も多い.申請者らは,肺血管内皮細胞傷害の際に上昇し,細胞間の情報伝達物質およびバイオマーカーとして報告されているmicroparticle(EMP)に着目した.本研究では,HHT-PAH患者,PAH患者,HHT患者,およびPAHを伴う先天性心疾患患者において,肺血管内皮由来microparticleがどのような挙動を示し,疾患の進展に関与しているかについて検討することを目的とする. 昨年度収集したPAH患者,HHT患者,HHT-PAH患者,および血管内皮傷害のコントロール群として川崎病血漿交換症例の血液に加え,他施設からの検体採取を行った. また,共同研究者とともに対照群のEMP測定をflow cytometryを用いて行い,EMP染色用 抗体や測定用ビーズなどの購入を行い, 独自のFCM設定を行っている. また,当科でフォローしているACVRL1(ALK1)変異のHHT-PAH患者のフォローアップの検体採取を行い, 今後の解析を予定している.
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