本研究では、インスリン分泌促進ホルモンであるGLP-1、その分解酵素DPP-4が、肺高血圧症の病態に果たす役割を検討した。 モノクロタリン誘発肺高血圧ラットに対し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬のいずれか、あるいは併用がその肺高血圧を改善し、生存率を高めた。その機序として、DPP-4阻害薬がその蛋白分解酵素の機能により肺動脈平滑筋細胞内のNF-kBを介する炎症経路を抑制することを明らかにした。またDPP-4はT細胞活性化抗原CD26として、肺動脈平滑筋細胞の増殖に関与することが示唆された。一方、GLP-1受容体作動薬につい ては、リアルタイムPCRの結果から組織因子の関与が示唆された。
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