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2020 年度 実施状況報告書

胎生期低栄養による易肥満体質獲得機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K16886
研究機関浜松医科大学

研究代表者

伊藤 敏谷  浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (40867149)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードメタボリックシンドローム / 胎生期低栄養 / catching-up growth
研究実績の概要

現在日本人女性のやせが増加している。我々の調査では妊娠中も一日約1600kcalしか摂取しておらず、エネルギー摂取不足の現状があり、胎児の比較的低栄養状態となっていることが危惧される。また成長後は飽食の事態というミスマッチな環境変化もある。疫学研究から、胎生期低栄養および出生後の急速なcatch up growthを経験した場合、児の成長後のNon communicatable disease発症のリスクが増大することが報告されている。特にメタボリックシンドロームの発症は広く知られている。我々は、肥満発症に注目し、脂肪組織の遺伝子解析を組織学的変化の解析を行うことで、将来のメタボリックシンドローム発症リスクのメカニズムの解析を行うことを目的とし、胎生期低栄養-授乳期catch up マウスモデルにて実験を行った。
胎生期低栄養群は、自由摂餌群と比べ、有意に体重増加が認められ、精巣周囲脂肪も有意に高値であった。また精巣脂肪組織における小胞体ストレスマーカーは高値であった。小胞体ストレス緩和剤である二次胆汁酸(Tauroursodeoxycholic acid;TUDCA)を投与した場合、有意に体重および精巣周囲脂肪、小胞体ストレスマーカの減少が認められた。精巣周囲脂肪組織における、遺伝子解析では、胎生期低栄養群と自由摂餌群および、胎生期低栄養群におけるvehicle投与群とTUDCA投与群のマイクロアレイ解析で、どちらの比較においても、多くの変動遺伝子が認められた。また、各比較において、発現遺伝子リストから、エンリッチメント解析を行った結果、胎生期低栄養やTUDCA投与による変化は炎症と関連のある遺伝子の影響を受けている可能性が示唆された。また、精巣周囲脂肪において、胎生期低栄養群では有意にマクロファージ浸潤の増加を認め、炎症性のM1マクロファージが増加していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験に供する検体が当初の予定より少なかった。

海外からの試薬の輸送が遅れた。

今後の研究の推進方策

胎生期低栄養および出生後のCatch-up growthにより、出生仔の臓器における脂肪組織の慢性炎症が遺伝子レベルでプログラミングされる可能性が示唆され、今後、Delopmental Origins of Metaflamationの視点から、メタボリックシンドロームの予防・先制医療の可能性を、胎生期や出生直後にまで広げ、慢性炎症をターゲットとした治療方法の開発を目指す。具体的には、DNAのメチル化などエピゲノムの変容をさらに解析していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験に供する検体が当初の予定より少なかった。

海外からの試薬の輸送が遅れた。

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公開日: 2021-12-27  

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