研究課題
2021年度はおよそ120例の遺伝性骨髄不全症候群に対して遺伝子パネル解析を実施し、19例で病的遺伝子変異を同定した。同定された原因遺伝子は、ADH5+ALDH2 1例、ALAS2 1例、CASP10 1例、CXCR4 1例、FANCA 2例、GATA2 1例、HBB 1例、JAK2 1例、LZTR1 1例、PALB2 1例、PTPN11 1例、RPL11 1例、RPL35A 2例、SBDS 1例、TINF2 1例であった。原因遺伝子が同定されなかった症例の臨床情報を収集し、臨床的に遺伝性骨髄不全症候群と診断される10症例についてトリオ検体(発端者、父母)の全エクソン解析を実施した。2020に遺伝性解析を実施した19家系と合わせて変異解析を実施し、8例で疾患の原因となる病的遺伝子変異を同定した。トリオ解析によって同定された原因遺伝子は、ADH5+ALDH2 1例、FANCA1例、RPL5 1例、RTEL1 1例、RUNX1 3例、SBDS 1例であった。本研究において、これまでに8例が新たな遺伝子診断を得ることができている。
2: おおむね順調に進展している
2020年度に実施した19家系57検体に加えて、2021年度は10例30検体の全エクソン解析を実施した。これにより、未診断の遺伝性骨髄不全症候群29症例のうち8例(27%)で既知の病的遺伝子変異を同定し、遺伝子診断を得ることができた。
2022年度は、さらに10家系の遺伝子解析を実施し、これまで解析した家系の変異解析を実施する。これにより遺伝性骨髄不全症候群の新たな原因遺伝子変異の同定や遺伝学的背景を検討する予定である。
2022年度の使用額を使用して、およそ10家系30検体の遺伝子解析の実施を計画している。加えて、学会発表、論文作成を行う。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Haematologica
巻: 106 ページ: 2511,2515
10.3324/haematol.2021.278334