本研究「小児潰瘍性大腸炎の早期診断における経会陰式超音波検査法に関する有効性の検討」における研究実績として、課題である経会陰超音波検査を潰瘍性大腸炎の患児および他疾患の患児に対して実施し、データの集積を行った。具体的な超音波検査の実施件数を述べると、エントリーした147例中、最終的に活動期と寛解期を含む小児の潰瘍性大腸炎87例と小児の他疾患50例の計137例を採用した。これらの症例から得られたデータに関しての統計学的解析を行い、活動期潰瘍性大腸炎群は非活動期潰瘍性大腸炎に比べ優位に腸管壁が厚くドップラーシグナルが亢進することが判明し、検者間バイアスも極めて少ないことも証明した。これにより、潰瘍性大腸炎の内視鏡診断後の直腸病変のフォローアップに経会陰超音波検査は極めて有用であることを示すことができた。これらの内容を査読ある英文誌に投稿し掲載された (2023;17(7):1122-1127.)。また、本検討にはサブ解析があり、経会陰超音波ドップラー検査像において、潰瘍性大腸炎の児では他疾患の児と比較して、特徴的な血流シグナルパターンがみられることを証明し、統計学的評価においても他疾患に比べて強い優位差が得られているため、潰瘍性大腸炎の直腸病変において、経会陰超音波検査はフォローアップだけでなく診断においても有用であることを示した。本内容も、査読ある英文誌に投稿し掲載予定である。(Inflamm Bowel Dis. 2023 Aug 29:izad186. doi:10.1093/ibd/izad186. Online ahead of print.)
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