研究課題/領域番号 |
20K16907
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
奈良 昇乃助 東京医科大学, 医学部, 助教 (70459569)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近赤外線分光装置 / 脳組織酸素飽和度 / 組織酸素代謝指標 / NIRS / 早産児 / 未熟児動脈管開存症 / 頭蓋内出血 / 晩期循環不全 |
研究実績の概要 |
組織酸素代謝指標は、任意の組織における酸素代謝状態を評価できる点で有益であるが、管理目標値が明らかにされていないことが臨床現場で運用する上での障壁となっている。本研究は、早産児の脳組織酸素代謝指標の経時的に測定し、予後との関連について検討することで未熟児診療における脳組織酸素代謝指標の管理目標値を見出すことを目的としている。 2021年度も初年度に引き続き、在胎30週未満または出生体重1500g未満の早産児を対象に近赤外分光装置(TRS-20 浜松ホトニクス社)を用いて脳組織酸素代謝指標を計測した。呼吸循環動態の変化が激しく、神経学的予後に大きな影響を及ぼす頭蓋内出血を発症しやすい急性期は生後12、24、48、72時間で計測をおこなった。また、急性期を過ぎてから発症する種々の早産児合併症は、神経学的予後との関連を検討する上で無視できない交絡因子となるため、急性期以降も修正満期を迎えるまで週1回のペースで測定を続けた。 計画当初の必要サンプルサイズに届いてはいないものの、中間報告として、脳組織酸素飽和度(ScO2)と短期予後について検討し、関連学術集会にて報告した。入院経過中に一度でもScO2が60%を下回ったものをScO2低値群、下回らなかったものをScO2正常群として2群に分けて比較したところ、ScO2低値群はScO2正常群に比べて、修正1歳未満までに運動発達の遅れがみられ、理学療法が開始された症例数が有意に多かった。この結果は、早産児におけるScO2の低下が神経学的予後不良に寄与する可能性を示唆している。サンプルを増やし、中・長期予後との関連についての検討を進めることで、早産児の神経学的予後改善に寄与する有益な成果が得られる可能性が高いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象となる早産児の年間入院患者数が例年に比べて少なく、データ収集に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間3年間のうち、最初の2年間で収集完了予定であったデータ収集期間を半年間延長する。2022年度の上半期も引き続きデータ収集を続けることで、計画当初の必要サンプルサイズを確保する。また、これまでに学術集会で発表してきた組織酸素飽和度と動脈管開存症との関連や脳組織酸素代謝指標と短期予後との関連についての研究結果の学術論文に纏める。
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次年度使用額が生じた理由 |
動脈管開存症、晩期循環不全、慢性肺疾患などの早産児合併症を呈した症例件数が例年と比較して少数であり、組織酸素代謝指標の連続測定に用いる使い捨てオプトードの消費量が当初の予定よりも少なく、未使用金を繰り越した。また、関連学会がオンライン開催となり、旅費の歳出がなかったことも理由として挙げられる。 2022年度は収集したデータの解析とともに、論文化を主体に研究を推進していくため、英語論文校閲費等に使用する予定である。
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