研究課題/領域番号 |
20K16910
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
原 真理子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, リサーチアソシエイト (30744552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PFAPA症候群 |
研究実績の概要 |
本研究では、PFAPAの扁桃上皮における抗原認識機能を解析し、PFAPAの発症原因と誘導される自然免疫の異常応答を明らかにすることを目的としている。 ①PFAPAの扁桃上皮におけるPAMPs刺激に対する自然免疫応答の解析について。これまでに収集した扁桃上皮サンプルを用い、mRNAの抽出、PAMPsによる刺激培養、培養上清中のcytokine, chemokine産生の測定などを行い、必要な実験操作手順を確立した。現在、抽出したmRNAを用いてMicroarrayを行い、網羅的遺伝子発現解析やトランスクリプトーム解析を現在進めている。今後、炎症に関与している可能性のある自然免疫関連受容体について、qPCRによりmRNAを測定する予定である。また、PAMPsによる刺激培養の予備試験の結果から、いくつかの抗原刺激や受容体が候補として考えられた。今後、本試験を行い、PFAPAの病態形成に関与している自然免疫応答やcytokine, chemokineを解析していく予定である。 ②PFAPAの扁桃上皮のtight junctionの発現解析について。扁桃上皮サンプルより抽出したmRNAを用いてMicroarrayを行った結果、発熱期の炎症状態の背景には、tight junctionの発現増強がupstream regulatorとして関与している可能性が示された。上皮細胞のtight junction分子は、その構造の一部がウイルスや細菌などの抗原の標的となっており、微生物暴露によって機能障害が引き起こされたり、あるいは発現が増強したりする。今後、免疫染色を行い、疾患特異的なtight junctionの発現パターンを検討し、PFAPAのtriggerとなる抗原刺激とtight junctionを介するバリア機能との関連を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①PFAPAの扁桃上皮におけるPAMPs刺激に対する自然免疫応答の解析について。現在までに、PFAPA19例、コントロール群として習慣性扁桃炎6例、生理肥大11例の扁桃上皮サンプルを収集し、凍結保存している。解析に必要な実験操作として、凍結保存した上皮細胞を用いたRNA抽出、PAMPs, cytokineの刺激培養とcytokine, chemokine産生の測定が可能であることを確認した。現在、抽出したmRNAを用いてMicroarrayを行い、網羅的遺伝子発現解析やトランスクリプトーム解析を進めている。 ②PFAPAの扁桃上皮のtight junctionの発現解析について。免疫組織染色に用いる凍結切片として、PFAPA21例、習慣性扁桃炎13例、生理肥大19例を収集した。現在、免疫染色に必要な抗体や実験操作手順の確認を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
①PFAPAの扁桃上皮におけるPAMPs刺激に対する自然免疫応答の解析について。現在、扁桃上皮サンプルより抽出したmRNAを用いたMicroarrayを行い、網羅的遺伝子発現やトランスクリプトーム解析を進めている。この解析より得られた結果を参考に、今後、収集した扁桃上皮サンプルについて、qPCRでmRNAを測定し、PFAPAの炎症に関与している可能性のある自然免疫関連受容体を検討する。また、予備試験で得られた結果からtriggerの候補と考えられたPAMPsを用いた刺激培養を行い、病態形成に関与している自然免疫応答やcytokine, chemokineを解析する。 ②PFAPAの扁桃上皮のtight junctionの発現解析について。扁桃上皮サンプルより抽出したmRNAを用いたMicroarrayの結果から、発熱期の炎症状態の背景には、tight junctionの発現増強がupstream regulatorとして関与している可能性が示された。今後は、収集した扁桃組織を用いた免疫染色を行い、疾患特異的あるいは発熱期に特徴的なtight junctionの発現パターンについて解析する。これにより、PFAPAのtriggerとなる抗原刺激とtight junctionを介するバリア機能との関連について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究計画1年目として、解析に必要なサンプルの収集と、実験操作手順の確立を主に行った。次年度では、1年目に収集したサンプルを用い、実際に解析を行っていく予定である。解析を行うに当たり、同一条件で一度に実験を行ったほうがバラつきの少ない結果が得られる可能性を考慮し、このような計画を立てた。
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