研究課題/領域番号 |
20K16916
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 晃平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10869077)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
コロナ禍も影響して初年度は予備実験、環境整備、情報収集、情報整理、解析系整備に終始した。単核球分離からのDNA/RNA抽出技術と実験系は保守し、質的問題・量的問題は特に問題ないことを引き続き確認した。研究室・実験室・附属病院病棟のコロナ禍における使用方法や感染防止策を検討し、整備した。これまでの研究について、情報整理を行い、DNAメチル化のエピジェネティックメモリーについての論文"Identification of epigenetic memory candidates associated with gestational age at birth through analysis of methylome and transcriptional data. "(Kashima, K. et al. Scientific reports 11, 3381, doi:10.1038/s41598-021-83016-3 (2021))を公表した。これまでの研究についての講演依頼(令和3年6月予定、新生児栄養フォーラム)も受け、講演用テキストを執筆した。また、低出生体重児についての総説も執筆し、今年度中に公表予定となっている。また、ASPR2021(アジア小児科学会)でも研究成果についての、講演依頼を受けた。現在、臨床研究の倫理審査用資料を準備中である。解析に関しては細胞分画がDNAメチル化解析に影響することは知られており、重要な問題であるが、細胞分画選択の方針についても更新し、また多変量解析の手法についてもrobust linear regression analysisを取り入れるなど、更新に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で実験室利用を控えることを余儀なくされることが非常に多かった。また、附属病院病棟内のコロナ対策にも時間を取られた。このような中で附属病院内の研究復旧には大変な労力が必要だった。コロナ禍の中で可能な仕事を模索し、進捗がなるべく遅れないように努めた。年度後半からは予備実験も少しずつ行えるようになり、また解析系の保守や整備も可能な限り行なった。そのような苦境の中でも、これまでの研究成果を論文投稿し、受理・公表されたことは、evidenceとしてこれまでの研究成果が認められ、次に進めていく上で大きな進展ともいえる。DNAメチル化のエピジェネティックメモリーにおいてやはりポリコーム結合すなわちH3K27me3が関与していることを臍帯血・生後児血検体で証明した。一方で、コロナ禍が影響してか、早産児の出生が少なくなっていることも研究遅延に影響したものと考えている。3月以降、早産児の出生も増加してきており、徐々にリクルートが行える環境整備もできつつある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、コロナ禍で頓挫していた、臨床研究の倫理審査を通すことが休務である。倫理審査を半年以内で通すことができれば、その後はリクルートは順調に進むものと考えている。30~40人程度の早産児を含む新生児のリクルートを進め、DNAおよびRNA抽出を行い、少なくともDNAメチル化解析を進めていく。また、論文"Identification of epigenetic memory candidates associated with gestational age at birth through analysis of methylome and transcriptional data. "(Kashima, K. et al. Scientific reports 11, 3381, doi:10.1038/s41598-021-83016-3 (2021))でも公表したことだが、UCN遺伝子の発現産物、ウロコルチンの測定は少なくとも行っていきたいと考えている。これらを実行することは残りの期間で十分に可能であり、また最も重要と考えており、物価上昇が影響して経費の面からも、現実的な選択と考えている。遺伝子発現解析は経費が許せば是非実行したい。
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