研究実績の概要 |
初年度は、介入前の当院で樹立した経皮感作食物アレルギーモデルマウス作成を確立することを目指した。このモデルマウスには2つ検討事項があった。①感作に時間がかかりすぎること、②感作後も自然に症状が改善することである。①前回の報告(Kawasaki A, Ito N. Allergy. 2018.)では感作を1クール2週間を3回行っていたため、経皮感作食物アレルギーモデルマウス作成に1か月半を要した。また、作成にあたり成功確率が8割程度であり、十分感作できていないマウスも一定の割合でみられた。②コントロールとしてナノ粒子ではなくPBSを塗布したマウスも自然に症状が回復するアウトグローするマウスも見られることが実際に検討をして明らかとなった。以上を受けて、まず①に対して検討した。その結果、感作回数を2回に減らしても3回感作した場合と同じく食物アレルギー症状を8割程度誘発できることに成功した。上記①②の検討に加え、予備実験で感作前のマウスにナノ粒子を塗布することで、免疫グロブリン産生に影響を与える可能性があることを明らかにした。 翌年度には、申請者が本研究と並行した研究で抗原特異的IgDが免疫寛容に関わる可能性について明らかにした(Itoh N. Allergy. 2021)。そこで、②の感作後の症状改善に抗原特異的IgDが関わっている可能性について検討した。しかし、症状が自然に改善する群と持続する群で一定の傾向はみられなかった。更に、介入群でもナノ粒子により症状が改善することは確認できたが安定せず、②の問題か判断が難しかった。 そのため、翌々年度には、過去の報告を元に経口免疫療法を行う群を作成し、安定したアレルギー症状の改善を確認した群で先に挙げた抗原特異的IgDに変化があるかを検討した。現在、本科研費の他に研究費を獲得し、上記について継続して検討を行っている。
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