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2020 年度 実施状況報告書

ファージディスプレイ法を用いた新生児低酸素性虚血性脳症に対する新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K16922
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

樋口 明日香  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90613480)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード新生児低酸素性虚血性脳症 / 脳性麻痺 / ファージディスプレイ法
研究実績の概要

まず新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)のマウスモデルの作成を行った。Rice-Vannucci法の変法により本疾患モデルの確立を行った。C57BL/6Jの生後10日目の新生仔マウスをイソフルレンによる全身麻酔下に、左総頚動脈を迷走神経より単離し、バイポーラー電気メスにて焼灼し血流を遮断する。1時間母獣に戻し、脱水を授乳により補正した後に、10%酸素濃度の低酸素チャンバーに50分間暴露させ、HIEモデルを作成した。神経細胞を染色するMAP2による免疫染色にて行い虚血壊死に陥った組織面積を測定することで、疾患モデルが成立していることを確認した。HIEモデルは一般的に均一なモデルの作成が容易ではないと考えられているが、我々の使用している低酸素チャンパーは温度を均一に保つことができかつ酸素濃度10%を自動的に維持できる装置であり、均一なモデルの作成を可能とした。
治療用ペプチド作成に関しては、ファージディスプレイ法を用い、M1マイクログリアに選択的に結合するペプチド配列を同定した。この配列にアポトーシスを誘導するKLAペプチドを結合させることで、治療用ぺプチドとした。コントロールペプチドとともにまずは少量作成した。その効果をin vitroで現在確認実験を行っている。具体的には、新生仔マウス脳からのマイクログリアの初代培養を行い、LPS負荷によりM1マイクログリアへ分化誘導し、治療用ぺプチドとコントロールぺプチド投与による生細胞数をWST-8アッセイにより現在比較検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19流行の影響により、当大学では新規動物実験の研究を開始できない時期があったため、実験開始までに時間を要し、進捗に遅れが生じている。また、治療用ペプチドはInvitogen社への外注であるが、海外からの輸入であることから、納入に時間を要している。

今後の研究の推進方策

ペプチドの効果を認めれば、発注量を増やし、HIEモデルへのペプチドの投与を行っていく。ペプチドの投与経路として、脳室投与の方法を検討中である。イソフルランによる全身麻酔下に、ステレオタキシスにマウスを固定し、定位的にペプチドの投与を行う。先行研究では、腹腔内投与での報告があったが、脳室投与でのより選択的なM1ミクログリアの阻害を目指す。ぺプチド投与の治療効果の観察として、HIE後2週間における運動機能評価(ロータロッド試験、オープンフィールド試験)を行った上で、潅流固定後に脳を摘出し、組織学的評価を行う。神経細胞を染色するMAP2染色で患側脳と健側脳の萎縮率を比較し、マイクログリアを染色するIba-1染色でマイクログリアの細胞動態の観察を行う。M1マイクログリアに関しては、FACSやPCRを用いて評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で研究の進捗に遅れが生じたため。

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公開日: 2021-12-27  

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