研究実績の概要 |
2023年度は、本研究の結果の論文を投稿し、受理された。Predicting Long-Term Ventricular Arrhythmia Risk in Children with Acute Lymphoblastic Leukemia Using Normal Values of Ventricular Repolarization Markers Established from Japanese Cohort Study.Takeguchi M, et al.J Clin Med. 202317;12:4723. 本研究全体の結果としては、上記論文に示すように、日本人健常小児の心電図における致死性不整脈の予測因子の一つである心室再分極指標(Tpeak-end、Tpeak-end/QT)の基準値を、学校心臓検診の心電図から測定し報告した。特にTpeak-end/QTの値は年齢や性別によらず一定あることを確認した。そして、アドリアマイシン等の抗がん化学療法による心筋障害が晩期合併症が問題となる急性リンパ芽急性白血病の小児患者を対象として、大分大学医学部小児科で小児白血病研究会JACLSのALL-02プロトコールで抗がん化学療法を施行された17名を対象として同指標を検討し、3名で急性期にTpeak-end/QTが上昇していることを確認した。よって、小児急性リンパ芽急性白血病患者ではアドリアマイシン等の抗がん化学療法によって心筋障害を呈し、致死性不整脈のリスクが急性期に一過性に高くなっている可能性が示唆された。今回、日本人小児の基準値の報告は初めてであり、Tpeak-end/QTが年齢、性別によらない良い指標であること、白血病を含め小児がん経験者における同指標による合併症の検討が今後のフォローアップや治療プロトコールの検証に有用である可能性が示唆された。
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