研究実績の概要 |
【緒言】脳室内出血(IVH)は新生児の予後に重大な影響を与える合併症であり、特に重症IVHと神経学的予後との関連性が高い。しかし、IVHの予防のための有用なモニタリング手法が確立されておらず、課題となっている。近年、内大脳静脈の血流波形の評価や脳の局所酸素飽和度(rScO2)のモニタリングの有用性が注目されているが、これらの手法の関連性についてはまだ研究途上である。本研究では、これらの関連性について調査することを目的とした。 【方法】当院にて出生した、体重1000g未満、在胎24週以上30週未満の新生児を対象に、NICU入院後から生後72時間までrScO2をモニタリングした。生後8時間毎に頭部超音波検査でIVHと内大脳静脈の揺らぎを評価し、rScO2の測定にはINVOS、超音波検査にはVivid E90を使用した。ICV揺らぎのhigh grade群(grade2,3)とlow grade群(grade0,1)に分け、rScO2値を比較した。 【結果】対象は10例で、出生体重は中央値702g(範囲554-944g)、在胎週数中央値25.65週(23.9-29週)であった。ICV high grade群は3例、low grade群は7例であった。在胎週数や体重など患者背景に有意差は見られなかった。8時間ごとのrScO2の中央値は24-48時間でピークに達し、どの時点においても両群間に有意差はなかった。IVHに関しては、ICV high grade群でIVH grade4が1例、ICV low grade群でIVH grade1が1例であった。 【結論】本研究ではICVの揺らぎとrScO2の関連性は明らかにできなかった。患者数や病床制限の影響により、予定通りの解析ができなかった。この分野はまだ解明が進んでおらず、より大規模な研究が必要と考えられる。
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