研究実績の概要 |
母体の妊娠高血圧症候群を始め、子宮内慢性低酸素虚血を呈するさまざまな病態によって生じるSGA児について、その合併症の発生機序および治療について研究を行っている。これまでに、SGAモデル仔ラットを用いてSGA児で生じる一過性血小板減少症の原因が未熟肝臓におけるトロンボポエチンの発現低下であり、トロンボポエチン受容体作動薬の投与によって血小板減少が改善することを明らかにし、これらの結果を論文として報告した(TAKESHITA, Satoru, et al. Insufficient thrombopoietin due to hepatic dysmature results in thrombocytopenia in small‐for‐gestational‐age rats. British Journal of Haematology, 2021, 192.4: e105-e108.)。 次に、SGAモデル仔ラットの大脳皮質の構造的特徴を捉え様々な手法で解析し、神経細胞分裂抑制による大脳皮質形成異常を生じることを明らかにした(未発表)。さらに、SGA児で産生が低下したTPOが神経保護作用を有することを見出した(未発表)。 本邦でSGA児は増加傾向にあり、SGA児の神経発達障害のメカニズムの解明とその治療は非常に重要である。本研究は、SGA児の神経予後の改善に向けた新規治療の開発に重要な役割を果たすことが期待される。
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