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2021 年度 実施状況報告書

胎児十二指腸・空腸閉鎖症の疾患レジストリによる臍帯潰瘍の病態解明と発症予測の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K16944
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

小澤 克典  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 医員 (70408516)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード胎児十二指腸閉鎖症 / 胎児空腸閉鎖症 / 臍帯潰瘍 / 疾患レジストリ / 多施設共同研究 / 羊水中総胆汁酸濃度
研究実績の概要

先天性十二指腸閉鎖症や空腸閉鎖症をもって生まれてくる児は5000人に1人だが、約10%に周産期死亡を起こす。近年、この主な死亡原因に臍帯潰瘍が関係していることが分かってきた。臍帯潰瘍とは臍帯のワルトンゼリーが菲薄化して臍帯血管が露見した状態を指し、子宮内で動脈性の出血や血流障害を起こすことで胎児死亡や新生児死亡の原因となる。これまでの臍帯潰瘍の報告をまとめると生存率は33%であったが、いずれも症例集積研究や後方視的研究であり、臍帯潰瘍の病態や予後については不明な点が多い。我々の後方視的研究では、臍帯潰瘍の程度を病理所見から5つのグレードに分類し、胎児死亡した4例のうち3例は最も臍帯潰瘍グレードが高かった。また、臍帯潰瘍のあった児は、臍帯潰瘍のなかった児と比較して羊水中の総胆汁酸濃度が高値であった。
本研究は胎児十二指腸閉鎖症・空腸閉鎖症の疾患レジストリを構築し、臍帯潰瘍の発生頻度や死亡率等の疫学的情報を得ることを目的とした。また、臍帯潰瘍と関連する因子を探索し、臍帯潰瘍の発症予測モデルを作成する。臨床で羊水を採取する際に試料として羊水を保管し、総胆汁酸濃度を含む羊水中の生化学検査を実施する。また、臍帯潰瘍のグレード分類をする病理検査は、臍帯潰瘍の診断経験のある2名の病理医から構成される中央診断とした。
全国から19施設が研究に参加し、2022年3月までに44例の症例登録がある。病理診断を終えている症例では臍帯潰瘍grade 0が1例、grade 1が18例、grade 2が8例、grade 3が0例、grade 4が4例集積されており、児の予後としては胎児死亡と新生児死亡が1例ずつある。分娩週数の中央値は36週(32-39週)で、羊水中総胆汁酸濃度の中央値は10.9μmol/L(0.3-69.3μmol/L)であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

疾患レジストリの登録システム(症例報告書・データベースなど)の準備に半年を費やし、2020年11月にキックオフ・ミーティングを実施、2020年12月から症例登録を開始した。1年間で50例の登録を予測していたが、コロナ禍の影響もあり症例登録のペースが鈍化した。

今後の研究の推進方策

登録開始して1年6か月で47例の登録があることから、2022年度のリクルートを促進する必要がある。研究協力施設への定期的な確認とともに、学会などでの宣伝を推進する。登録は2023年3月までの計画であったが、登録数によっては期間を延長することを検討する。登録期間、および研究期間の延長については、データセンター、および生物統計家と相談する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍などの理由により、研究に登録された症例数が予定よりも少ないため、検査費用や輸送費用などが予定よりも少ない額となった。翌年に症例登録を増やさなければ、研究計画にあるサンプル数に達しないため、増えた症例における検査費用や輸送費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 胎児十二指腸閉鎖・空腸閉鎖の多施設共同観察研究2021

    • 著者名/発表者名
      小澤克典
    • 学会等名
      第43回日本母体胎児医学会学術集会
  • [学会発表] 臍帯潰瘍の胎児診断2021

    • 著者名/発表者名
      小澤克典
    • 学会等名
      第3回胎児教育遠隔セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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