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2020 年度 実施状況報告書

胃底腺型胃癌を含む胃癌の発症機序の解明:ゲノムと遺伝子発現

研究課題

研究課題/領域番号 20K16952
研究機関東京大学

研究代表者

坂口 賀基  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20791445)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード胃底腺型胃癌 / 網羅的遺伝子発現 / ゲノムインフォマティックス解析 / NKX2-1
研究実績の概要

本研究で胃底腺型胃癌に対する網羅的遺伝子発現解析を世界で初めて実施した。具体的手法として、胃底腺型胃癌3症例から内視鏡的生検にて採取されたfresh frozen検体(それぞれ腫瘍組織および周囲正常組織)からRNA抽出し、NanoDrop及びAgilent 2100 Bioanalyzerによる品質確認を行った。この3症例6検体の抽出RNAに対してSurePrint G3 Human Gene Experssion 8x60K (Agilent)を用い網羅的遺伝子発現解析を行った。得られた発現プロファイルに対し、Gene set enrichment analysisならびにPathway analysisを含めたゲノムインフォマティクス解析を行い、現在までの主な結果として
①既知の胃癌関連gene set enrichment patternはいずれも胃底腺型胃癌と有意な相関が認められなかった。
②胃底腺型胃癌においてNKX2-1, SFTPB, SFTPC, SCGB3A2を含むnetworkの活性化が認められた。この遺伝子群(特にNKX2-1)は肺・気管・甲状腺に特異的に発現するホメオドメイン転写因子であり、一部の肺癌においてもNKX2-1関連ネットワークの活性化が認められるという既報もある(Yamaguchi et al. Cancer Cell 2012)が、他臓器癌における報告はない。
胃底腺型胃癌発症の機序が通常型胃癌と異なり、一部の肺癌と類似している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

世界的COVID-19流行と、緊急事態宣言により研究実施計画よりはやや遅れている。しかし既に世界に先駆けて胃底腺型胃癌発症の機序に関する新たな知見を得ており、大きな成果が得られている。

今後の研究の推進方策

当院の胃底腺型胃癌FFPE検体を用いて、NKX2-1関連遺伝子の発現プロファイルの再現性を免疫組織学的評価により検証する。
またNKX2-1発現肺癌における遺伝子発現プロファイルをゲノムインフォマティックス解析により比較し、胃底腺型胃癌と肺癌の類似点・相違点を明らかにする。
さらに可能なら胃癌細胞株にNKX2-1発現を誘導し、NKX2-1関連遺伝子の発現プロファイルの変化を評価したい。

次年度使用額が生じた理由

世界的COVID-19流行と緊急事態宣言のため研究実施がやや遅れているが、既に網羅的遺伝子発現解析とゲノムインフォマティックス解析により大きな研究成果が得られている。次年度はこれまでの研究成果に対する免疫組織学的評価による検証を行いつつ、さらに胃癌細胞株へのNKX2-1発現誘導を進め、胃底腺型胃癌発症の機序のより包括的理解を目指す。

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公開日: 2021-12-27  

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