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近年、DNAミスマッチ修復機構の欠損（deficient-MMR: dMMR）を認める癌において、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体が有効であると報告され、コンパニオン診断としてdMMR判定検査が普及してきている。dMMR判定検査は、MMR機能の低下によりマイクロサテライト反復配列が癌部において正常組織と異なる反復回数であることを検出するマイクロサテライト不安定性（MSI）検査、MMRタンパクの発現を同定し、発現が保たれている(proficient-MMR:pMMR)か否かを判定する免疫組織化学染色（IHC）、NGSで多数のマイクロサテライト領域の反復配列の違いを判定する方法があり、実臨床ではMSI検査とIHC検査が広く実施されている。しかしこれら二つの検査は原理および方法が異なるため、両者で同じ検査結果を示すかは明らかではない。そこでMSI検査とIHC検査における検査結果の一致率を確認し、検査結果に影響する因子を同定することにより、検査精度の向上を図ることを目的とした。
対象は、2019年2月～2021年12月に当院でMSI検査を実施した138症例の手術検体を対象とし、MSI検査とIHC検査結果の一致率を検討した。
138症例のうち、IHC検査を施行していた症例は9例であり、大腸癌1例と子宮体癌1例の計2例において検査結果の乖離が認められた。結果の一致率は77.8％であった。
結果が不一致となった2例は、手術検体ではなく生検検体を用いてIHC再検査を実施したところ、MSI検査結果と矛盾しない結果が得られた。手術検体は生検検体と比較して大型であり、固定液の浸透が不十分となりやすいことから、結果の乖離の原因は手術検体の固定不良であるとおもわれ、MMRタンパクのIHC検査には手術検体より固定状態が良好な生検検体の方が適している可能性が示唆された。
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