研究課題/領域番号 |
20K16957
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高原 政宏 岡山大学, 大学病院, 医員 (80738427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メトホルミン / CD4 T細胞 / ミトコンドリア / 酸化的リン酸化 |
研究実績の概要 |
本研究は、AMPK活性化作用を有する化合物をDrug repositioningの観点から見出し、有効性、安全性を確認し、IBDの新たな作用機序による治療薬開発を目的としている。 今年度も引き続き、AMPK活性化の代表的な薬剤であるメトホルミンを用いた研究の継続を行なった。昨年度までに、In vitroのアッセイでメトホルミンが、慢性腸炎マウスの腸管粘膜CD4T 細胞(LPCD4T細胞)内の炎症性サイトカイン(IFN-γ)を抑制すること、細胞代謝アッセイから、メトホルミンは、LPCD4T細胞内の酸化的リン酸化を抑制し、AMPKを活性化させることで、IFN-γを抑制することを明らかにしていた。 今年度は、In vivoの実験を行い、慢性腸炎マウスにメトホルミを投与し、腸炎が抑制するかどうかを確認した。慢性腸炎マウスにメトホルミを投与したところ、コントロール群に比べて、臨床スコアにおいて、腸炎は抑制され、また、病理スコア、LPCD4T細胞数、LPCD4T細胞内のIFN-γも抑制することを認めた。また、LPCD4T細胞内のAMPKの活性化も認めた。腸内細菌叢を比べたところ、属レベルでアッカーマンシアの増加をメトホルミ投与群で認め、β多様性も両群間で違いを認めた。 上記の研究結果から、メトホルミンは慢性腸炎マウスモデルの腸炎を抑制し、その作用機序の一つとしてLPCD4T細胞内の酸化的リン酸化の阻害によるAMPKの活性化を介した機序が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitro/ In vivoで、慢性腸炎マウスモデルにおけるメトホルミンの炎症抑制効果と、その作用機序を明らかにした。この研究成果に関して、論文作成・投稿を行い、アクセプトされている。
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今後の研究の推進方策 |
他の候補薬剤を用いて、慢性腸炎マウスモデルにおける炎症抑制効果の検討と作用機序の検討を始めている。
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