研究課題/領域番号 |
20K16968
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
別當 朋広 北里大学, 医学部, 助教 (40623202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 血管内皮増殖因子受容体 / VEGFR1 / DSS |
研究実績の概要 |
令和2年度は潰瘍性大腸炎モデルにおけるVEEGFR1-TKシグナル検討を行った。まず2%DSS誘発性潰瘍性大腸炎モデルの作成を行った。野生型マウス(WT)及びVEGFR1TK欠損マウス(TKKO)で2%Dextran Sodium Sulfate (DSS)希釈液を7日投与後、次の7日間は蒸留水に交換し、大腸炎の急性期モデルを作成した。経時的に大腸長とDisease Activity Index Score (DAI Score: 体重変化、排便の固さ、血便の有無でscore化する)の評価を行ったところ、WTと比較してTKKOで有意に大腸長の短縮を認めた。炎症粘膜における、血管内皮細胞のマーカーであるCD31や損傷治癒に必須であるEpidermal Growth Factor(EGF)のmRNA発現量がTKKOにて有意な減少を認めた。また、炎症大腸粘膜においてCD31抗体を用いて免疫染色を施行し新生血管数を評価するとTKKOではWTに比較して有意な減少を認めた。またWT,TKKOの末梢血中のVEGFR1陽性細胞数をフローサイトメトリーにて比較したところ、TKKOで有意な減少を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
潰瘍性大腸炎モデルマウスはDSSの量、また使用するロットにより、病勢に差ができやすいため、正しい薬品の軽量と、同じロットを使用しWTとTKKOで条件を整えることが非常に重要であり、同様の実験を複数回繰り返し正しい有意差を認めるか検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
DSSモデルマウスの炎症大腸粘膜において制御性T細胞(Treg)の発現を確認するため、主要転写因子であるForkhead boxprotein p3(Foxp3)の発現を免疫染色やPCR検査でmRNAの発現量を評価する。またWTにTreg中和抗体を投与してDSS大腸炎を作成すると炎症が増悪するのか、その際に産生する炎症マーカーについて抗体を投与しないマウスとの比較実験を施行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の遅れがあり、支出が減少したため。また旅費の使用がなかったため。今後、マウスの購入、実験に必要な抗体や薬剤の購入を行う。
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