研究課題/領域番号 |
20K16969
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
茂田 浩平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30528790)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 / 大腸癌 / Multi kinase inhibitor |
研究実績の概要 |
大腸癌では90%以上の患者において免疫チェックポイント阻害薬の効果が得られないことで知られるが,近年の報告からMulti kinase inhibitorであるRegorafenibを免疫チェックポイント阻害薬に併用することで治療効果を発揮することが報告された.そのため,大腸癌におけるMulti kinase inhibitorの腫瘍微小環境への変化と腫瘍免疫の活性化を分子生物学的に検証することを目的とした研究を行っている. これまでにマウス由来大腸癌肝転移モデルの作成を実施している.マウス大腸癌細胞株であるCMT-93とCT-26の二つを用いて実験を行った.肝転移モデルの作成方法として,脾臓に注入して経門脈的に肝転移を生じさせる脾注肝転移モデルと肝臓実質内に直接細胞株を注入する肝注肝転移モデルの異なる二つの手法を用いることとした.その結果,CT-26では脾注および肝注どちらの手法でも癌細胞が生着することを確認した.しかし,CMT-93では脾注および肝注どちらの手法でも現時点で癌細胞の生着を認めておらず,肝転移モデルとしては適していない可能性が示唆された.これらの結果から,CT-26を用いた2つの異なる肝転移モデルを用いて腫瘍微小管環境の評価を行う方針とした. RegorafenibをMulti kinase inhibitorとして採用することとし,現在腫瘍増殖試験を実施している.さらに,in vitroでのRegorafenib投与によるCXCL10,STAT1, STAT3の変化についてqPCRおよび上清のELISAを用いて行っている.また同時にCT-26を肝注および脾注したマウスを継続的に観察している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたCT-26およびCMT-93を用いた大腸癌肝転移モデルのうち,CMT-93の細胞株での作成に難渋していた.CMT-93のコンタミネーションも疑い,再購入して再度検証を行っている.
|
今後の研究の推進方策 |
今後CT-26用いた脾注及び肝注肝転移マウスモデルでの腫瘍の増大を確認した後,Regorafenibの投与を行い,腫瘍微小環境を構成する腫瘍血管や免疫細胞の解析を行っていく予定である. 腫瘍内の免疫細胞の分布を蛍光免疫染色を用いて検証し,さらにフローサイトメトリーを用いた腫瘍及び血液内の免疫細胞の定量化を行う予定である.同時に,腫瘍組織内の血管構造の変化,低酸素状態の改善・増悪の検証,組織線維化について確認する. さらに,患者検体を用いたbiomarker検索を継続する予定である.
|