研究実績の概要 |
62例の寛解期の潰瘍性大腸炎(UC)患者及び、20例のクローン病(CD)患者の血液・糞便sampleを利用した。血液sampleからは、Th1, Th2, Th17及び、抑制系となるTregをフローサイトメトリーにて解析。結果、CDや健常人(HC)と比較し、UCではTh2高値, Th17低値の結果が統計学的有意差をもって認められた。一方、Th1値は3群間で統計学的有意差を認めなかった。UCにおいてEffector T-cell/Regulatory T-cellの比率に注目し、Th2/Treg比をborder=1.0で設定したところ、Th2/Treg比が高い群が、過去のステロイド療法において、依存・抵抗例が多い傾向を認め、これまでの治療に難治を示す傾向が認められた。これらの群は、何らかの遺伝的背景があるのではないかと考え、HLA遺伝子解析を実施。予想に反して、HLA-DRB1*15:02:01, HLA-DPB1*09:01, DQB1*06:01:01、B*52:01:01、C*12:02:02はTh2/Treg低値群に統計学的有意差をもって認められた。そのため、難治傾向となるTh2/Treg高値群では、特定の腸内細菌叢変化があるのではないかと考え、ナノポアシークエンスでの解析を実施。結果、Desulfovibrionales属がTh2/Treg高値群に統計学的有意差を持って認められた。これらのT細胞のプロファイリングによって得られた免疫学的偏りは、特定の腸内細菌との因果関係を有している可能性があることが示された。
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