研究課題
若手研究
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸に限局した慢性炎症を典型的な病態とする難治性疾患であり、近年、患者数の増加が著しい。抗TNF-a抗体療法が奏功する症例がある一方で、再燃と寛解を繰り返す難治例も多く、症例の個別化に資する有用なバイオマーカーが求められている。本研究では、患者末梢血中の機能性T細胞バランス、抗原提示分子としてのHLA型、腸内細菌叢の3つの観点からUC患者の細分化を試みた。それぞれに特徴的な集団を同定したが、相互の関連性については明確にはできず、さらなる解析が望まれた。
消化器内科学
UCを含む炎症性腸疾患の治療については、抗TNF-a抗体療法を中心として、炎症および免疫応答に関与する種々の分子を標的とした新規薬剤の開発が続いているが、いまだ十分な治療法は確立されていない。本研究では、新たに機能性T細胞バランスに偏向を認める新たな集団を見出した。現在、UCの新規治療法として期待されているTh2型サイトカイン標的化との相関が想定され、その同定法とともに、今後の臨床応用が期待される。