研究課題/領域番号 |
20K16974
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
平田 有基 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師(准) (50774494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / 静脈血栓症 |
研究実績の概要 |
<目的>潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患には様々な合併症が認められるが、中でも血栓症は時に重篤な経過をたどる合併症である。腸管の炎症活動性が高い時に発生しやすいとされるが、そのメカニズムについては不明な点が多い。今回、血栓を形成に重要な血小板や凝固因子に注目し、潰瘍性大腸炎の寛解期と活動期でどのように変化しているかについて検討した。 <方法>潰瘍性大腸炎患者(n=57)の採血を行い、D-dimmer、Plt、PT、APTT、AT-Ⅲを測定し寛解期( p-Mayo=0~1)と活動期( p-Mayo≧4)で比較した。次に血小板、PBMCを分離しフローサイトメーターで活性化血小板の割合や単球の分画を算出し寛解期と活動期で比較した。(n=23) <結果>D-dimmerは寛解期に比し活動期で有意に高値であった。(p=0.0128)凝固系では、PT(%)が活動期で有意に短縮しており(p<0.0001)、APTT(sec)は有意に延長していた(p=0.0232)。次に血小板について検討を行うと、活動期では血小板数が有意に上昇していたが(p<0.0001)、活性化血小板の割合について有意差はなかった。単球の分画について検討を行ったところ活動期においてClassical monocyteやintermediate monocyteの分画については大きな変化がなかったが、non classical monocyteが有意に減少していた。(p=0.0265)活動期においていずれの単球の分画においても組織因子(TF)の明らかな発現は認められなかった。 <考察>潰瘍性大腸炎の活動期において寛解期と比較して有意にD-dimmerの上昇が見られ血栓を形成しやすい環境になっていると考えられた。また活動期においてPT(%)が短縮しており凝固因子でも外因系の因子が血栓形成傾向に関与していると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LDGの機能評価の系の確立に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
炎症時と非炎症時のLDG、好中球の遺伝子の発現パターンを網羅的に解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の機能評価の方法の確立に時間がかかり、遺伝子解析まで行えなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は各病態におけるLDGの細胞の性質の変化を調べるために次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析等に研究費を使用する予定である。
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