研究実績の概要 |
研究の方法として、当院に通院、入院された潰瘍性大腸炎80症例(2019年6月から2022年10月, 200point)を対象に採血で止血能やD-dimmerなどを評価しUCの活動性との関係を評価した。また当院に通院、入院された潰瘍性大腸炎23症例(2019年7月から2022年3月)を対象に全血を血小板安定剤 (ThromboFix)で処理したのちに血小板分離を行いフローサイトメトリーで活性化血小板の割合を測定した。最後に、CD14,CD16で単球の分画を確認しそれぞれの分画で組織因子の発現がどうなっているのか確認した。潰瘍性大腸炎の活動期において寛解期と比較して有意にD-dimmerの上昇が見られ血栓を形成しやすい環境になっていると考えられた。また活動期においてPT(%)が短縮しており凝固因子の中でも組織因子などの外因系の因子が血栓形成傾向に関与していると推察された。全ての症例で見た時にDdimmerの上昇自体はp-Mayoとの相関は弱く、血小板数が高いことやAlb値が低いことやCRPの高値との相関が強かった。活動期におけるD-dimmerの上昇はさらにBMI低値や若年がリスクとなっていた。寛解期と活動期で比較すると活性化血小板の割合に明らかな有意差は認めなかったが、症例ごとのpair検定を行うと活動期で活性化血小板の割合が上昇していた。単球の中でもIntermediate monocyteが活動期で割合が増えていた。単球における組織因子の発現はそれほど高くなかったがClasssical monocyteに比べ、Intermediate, Nonclassicalの単球で僅かに発現が高かった。
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