研究課題/領域番号 |
20K16976
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
増田 篤高 久留米大学, 医学部, 助教 (40647872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝再生 / 血管内皮前駆細胞 / 細胞移植 / バイオドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
本研究はNASH治療を目的とした薬剤を移植細胞に搭載することで、標的臓器(肝臓)選択的に薬剤を届けるバイオドラッグデリバリーシステム(BDDS)を確立し、その効果を評価することが目的である。①移植細胞の選定、②薬剤搭載細胞の作製、③薬剤搭載細胞の治療効果評価の3段階に分け研究を進めていく。本年度は①移植細胞の選定を主に行い、移植細胞の候補として、骨髄CD34陽性細胞、脂肪由来MSC、骨髄由来MSCの3細胞を検討した。 マウス骨髄よりCD34陽性細胞を採取し、1週間専用のメディウムで培養した。その結果浮遊状態のまま30倍以上に増殖した。培養細胞のFACS解析ではCD45:90.8%、CD31:94.7%と陽性であり、血管内皮よりに分化誘導されていることが確認できた。一方でCD34発現細胞は20.4%まで減少していた。また、マウス皮下脂肪(鼠径部~背部)より間葉細胞を採取培養し、脂肪由来MSCを分離・培養した。2継代後にFACS解析を行ったところ、CD44:78.4%、CD90(Thy-1):91.6%は陽性であったが、CD73:23.7%、CD105:11.0%と既報に比べ発現が少なかった。次にCD34陽性細胞および脂肪由来MSCをNASHモデルマウスに経脾・経門脈的に細胞移植し、移植2日後に肝生着率を評価したところ、培養CD34:38.5%、脂肪由来MSC:30.2%と培養CD34が優位に高かった。骨髄MSCに関しても分離・培養を行ったが、一定の細胞集団が培養されなかったため、PromoCell社よりGFP陽性マウス骨髄MSCを購入した。現在NASHモデルマウス作製中であり、作製後に骨髄MSC及びCD34陽性細胞を移植し肝生着率を比較検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GFPトランスジェニックマウス骨髄より骨髄MSCを分離・培養したが、1継代後から急速に増殖速度が低下した。GFP陽性の骨髄MSCは増殖速度が低く、培養後も幹細胞の純度が低下することが報告されており、骨髄MSCの培養が上手くいかないことで実験進捗にやや遅れが見られた。
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今後の研究の推進方策 |
骨髄MSCを培養にて確立した後にGFP遺伝子を導入し作製されているGFP陽性骨髄MSCを購入し、実験に使用する方針とした。骨髄MSCの表面マーカーの発現、脂肪や骨への分化能が確認されている細胞を使用することで今後の研究が加速することを期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19蔓延に伴い、参加した学会が少なく、かつWeb参加となったために旅費がかからなかった。また、実験進捗の遅れに伴い、試薬の購入費用が次年度に持ち越されたため。
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