膵上皮化生は胃粘膜に見られる化生であり、その発生メカニズムや存在意義については知られていない。本研究ではラット十二指腸液逆流モデルを作成した。胆汁酸の逆流が見られる胃-空腸吻合部周囲の粘膜に、十二指腸液の逆流によるSPEMを伴う胃粘膜損傷に関連して誘導され、さらに膵上皮化生、幽門腺化生は、腺頚部に由来する幹細胞より発生していると考えた。また、胃粘膜から採取した生検組織5930例について人での膵上皮化生の発生頻度と患者背景を検討し、胃前庭部に膵上皮化生が発生しやすいことが示された。胃前庭部は日常診療では胆汁逆流が見られやすい箇所であることから、胆汁酸が膵上皮化生の発生に関与していると考えた。
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