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2020 年度 実施状況報告書

膵IPMNにおける膵液オルガノイドを用いた診断法と創薬研究への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K16995
研究機関横浜市立大学

研究代表者

栗田 裕介  横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (30867015)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードオルガノイド / IPMN / KRAS / GNAS
研究実績の概要

膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm; IPMN)は、画像診断機器の進歩により、発見される機会が増えている。治療方針の決定には、画像診断と病理組織学的な診断が望まれるが、現状の内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)による病理診断法は診断感度が低く、十分な診断能を有しているとはいえない。またIPMNは分子基盤、遺伝子異常は不明確な点が多い。良性のIPMNであっても、経過を追っていくと悪性化するリスクがあるため注意を要するが、悪性化予防法はいまだなく慎重な経過観察をするしかない。そのためIPMNにおいて良性病変から悪性病変への進行を防ぐ化学予防薬剤の同定が望まれている。また切除不能段階に進行した悪性のIPMNは抗がん剤治療が適応となるが、有効な抗腫瘍薬剤は明らかになっておらず、慣習的に通常型膵がんと同様なレジメンが使用されている。ゆえに、悪性のIPMNに対して特異的に有効な抗腫瘍薬剤の同定が必要である。
近年、生体内の組織、臓器に極めて近い構造で細胞を増幅させる3次元培養システムとしてオルガノイドという手法の有用性が報告されている。今回、本研究ではIPMNに対してERCPにより採取した膵液より培養したIPMNオルガノイド細胞株を使用し、高感度の病理診断法の確立を試みている。また採取したオルガノイド培養株から遺伝子解析を行っている。良性IPMNの化学予防薬剤と、悪性IPMNに対する抗腫瘍薬剤からなる新規治療薬剤の同定を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IPMNの患者からERCPにより膵液を採取し、培養、継代により再現性のある細胞を十分量増幅したオルガノイド細胞株を樹立を行っている。同オルガノイド細胞株よりhematoxylin eosin染色(HE)標本および免疫組織化学染色標本を作成し、手術検体による最終診断と照らし合わせて、オルガノイド細胞株により作成した標本の病理診断能の検証を行っている。
また従来の手法であるERCPで得られた膵液による細胞診診断能、放射線専門医による画像診断能と、それぞれ感度、特異度、正診率を含めた診断能の比較を行い、統計解析を行っている。以上より膵液オルガノイド細胞株より作成したHE標本と免疫組織化学染色標本を使用した病理診断による悪性診断能の向上について検討を行っている。
さらに得られた膵液オルガノイド細胞株よりDNA、RNAを抽出し、KRAS、GNASのほか網羅的にIPMNの遺伝子変異解析ならび遺伝子発現解析を試みている。KRAS変異をはじめとして良性IPMNと悪性のIPMNの差異を比較し、IPMNの分子基盤を明らかにし、臨床データとも照らし合わせることで、バイオマーカー、予後因子となりえる対象を探索する。

今後の研究の推進方策

培養、継代により再現性のある細胞を十分量増幅したオルガノイド細胞株を樹立を継続し、オルガノイド培養を安定化させる。
膵液オルガノイド細胞株の網羅的にIPMNの遺伝子変異解析ならび遺伝子発現解析を試みている。KRAS変異をはじめとして良性IPMNと悪性のIPMNの差異を比較し、IPMNの分子基盤を明らかにする。今後さらに遺伝子変異、遺伝子発現の解析が進んだところで、薬剤感受性との関連性を調べ、個別化治療の可能性についても検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

物品の購入が主な使用用途であったが、分割での購入が難しいものも多く、単位ごとの購入になってしまうため、残金が発生した。次年度以降、研究必要物品の購入に際し、併せて使用させていただきたいと考えている。

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公開日: 2021-12-27  

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