研究課題/領域番号 |
20K17005
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
井上 匡央 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40620026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胆管癌 / 局所治療 / ラジオ波焼灼療法 |
研究実績の概要 |
胆管癌の根治的治療法は外科的切除術であるが、腫瘍の進展や遠隔転移などによって切除不能の状態で発見されることも少なくない。切除不能例に対しては化学療法が第一選択となるが、十分な成績とは言い難く、さらなる治療成績の向上が求められている。我々は、胆管癌の予後延長を目指した新たな胆管内局所治療法として、内視鏡下ラジオ波焼灼療法(RFA)システムを考案し、臨床応用に向けた開発を行っている。前年度に引き続き切除ブタ肝臓検体を用いた実験を継続して様々な条件下でのデータを蓄積し、新規RFAシステムの標的温度として60~80℃、焼灼時間は60~120秒を適正出力として設定した。この得られた設定を基に、生体ブタに対する実験を引き続き行った。臨床条件に準じて生体ブタに対して内視鏡を挿入した後に、胆管にアプローチをして新規RFAシステムにて焼灼を行った。RFA後、肉眼的ならびに組織学的に焼灼部位の評価を行ったところ、切除ブタ肝臓における実験と同様に、胆管壁に対して全周性に安定した焼灼巣が得られることが確認された。平均焼灼長と深度は60℃で20.64mmと3.46mmであり、70℃で22.18mmと5.07mmであった。一方で従来のカテーテル型RFAデバイスでの焼灼巣は偏在性であり、また焼灼深度も一定ではなく、新規RFAシステムの優位性が示された。またRFA後1ヶ月間飼育した例においては、焼灼による壊死組織は肉芽組織に置換されていることが確認され、胆管穿孔や出血などの偶発症は認めず、長期的にも安全かつ有効な結果が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切除ブタ肝臓に対する実験によって得られた結果と出力設定候補を基に、生体ブタへの内視鏡を用いた実験を開始することができ、概ね期待通りの良好な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの切除ブタ肝臓と生体ブタへの実験にて得られた結果を踏まえて、さらに長期的な新規RFAシステムの影響と、その効果の再現性を評価していく。具体的には複数の生体ブタに対して様々な条件下で新規RFAシステムによる焼灼を施行し、その後1-3ヶ月間飼育をして経時的な胆管や周囲臓器所見の変化のデータを蓄積していく。新規RFAシステムの長期的な効果と安全性を厳格に検証し、本新規治療法の臨床応用に向けての段階を踏んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗は概ね順調であったが、海外学会等での現地発表が困難となったため旅費の支出等が予定より減額した。
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