胆管癌の根治的治療法は外科的切除術であるが、腫瘍の進展や遠隔転移などによって切除不能の状態で診断されることも少なくない。切除不能例に対しては薬物療法が第一選択となるが、十分な成績とは言い難く、さらなる治療成績の向上が求められている。我々は、胆管癌の生命予後延長を目指した新たな低侵襲胆管内局所治療法として、内視鏡下ラジオ波焼灼療法(RFA)システムを考案し、臨床応用に向けた開発研究を行っている。前年度に引き続き切除ブタ肝臓検体を用いた評価実験と、実臨床に準じた内視鏡とX線透視装置を用いた生体ブタ胆管に対する評価実験を継続した。実験数を増してさらなる様々な条件設定下での焼灼データを蓄積すると共に、再現性と安定性の評価も行った。これらの実験を重ねることで、電極接触部分が相対的に強く焼灼され、焼灼範囲にムラが起こり得ることが確認された。今年度はこの焼灼ムラの原因や起こり得る状況、そしてその対策を施すための実験を中心に行った。その結果一定の知見が得られ、対策と方針に関してある程度目途が立った。今後はこの対策を施した実機と手法での実験を継続し、良好に焼灼範囲をコントロールできる方法を開発・確立していく予定である。
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