研究実績の概要 |
慢性C型肝炎に対する、Direct Acting Antiviral(DAA)の登場により治療の安全性・効果は飛躍的に上昇し非代償性肝硬変症例を含め大多数の症例においてウイルス学的著効(SVR)が得られるようになった。SVR症例は、多くが肝線維化の改善と肝発癌率の低下が期待されるが一部の症例においてはSVR後も肝線維化悪化・肝発癌が認めらえる。しかしながら、現在までにSVR後の肝線維化悪化、肝発癌を予測する因子については十分に明らかとされていない。今研究で、SVR後発癌と強く関連する1) SVR後肝線維化改善と関与するmiRNA 発現変化を複数同定し、同miRNAが肝星細胞の非活性化を介して抗線維化作用を有する事を明らかにした。これら、miRNAを肝線維化モデルマウスに投与し、肝線維化を抑制する可能性を明らかにした。更に、肝線維化非改善と門脈圧亢進を介したangiopoietin 2発現上昇が関連する事を同定した。さらに、長期観察例においてもangiopoietin 2発現上昇が、肝線維化非改善と関連する事を明らかにし報告した(kawagishi et al., Scientific Reports 2021).更に、肝線維化非改善は肝発癌と関連する可能性を考慮して、SVR後の発癌とangiopoietin 2発現上昇との関連を検討し、angiopoietin 2発現上昇が肝発癌と関連する事を明らかにし報告した(kawagishi et al., Viruese 2023).この知見を発展し、SVR後肝線維化進展、肝発癌の治療ターゲットとなりうる事を明らかにした。
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