研究課題/領域番号 |
20K17011
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
保坂 浩子 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (70795822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食道運動障害 / 好酸球性食道炎 / アカラシア / FLIP / HRM |
研究実績の概要 |
食道運動障害の病態を明らかにするとともに、治療戦略の最適化を目的として、Functional lumen Imaging Probe(FLIP)を用いた研究を計画した。FLIPは欧米では食道運動の評価に用いられているが本邦では薬事未承認の機器である。本年度は検査法や、検査体制の確立のため情報収集をおこなった。現在本邦ではFLIP検査を行っている施設がないこと、FLIPを購入した際の業者が現在FLIPの取り扱いを中止してしまったことなどから、情報収集が難航した。本来であれば、米国などの検査施行施設での検査手順の研修などを考えていたが、今般の新型コロナウィルス感染症の蔓延により、限られた資料での準備を余儀なくされたが、現在、米国の販売会社からのアドバイスのもと、検査法の習熟および検査計画を策定中である。 FLIPによる検査体制の準備を行うとともに、今年度は、食道運動障害の病態解明のため、高解像度内圧測定機器high resolution manometry(HRM)や内視鏡での粘膜生検による好酸球浸潤の評価、症状や患者背景の調査を行った。その結果、好酸球性食道炎の症状発現と食道運動の関連を見出し、日本消化器病週間で結果を発表を行い、ピロリ菌除菌による好酸球性食道炎発症に関する考察を日本消化管学会学術集会で報告した。さらに、従来、一次性食道運動障害と考えられていた疾患においても、食道粘膜内への好酸球浸潤による二次性運動障害の可能性が示唆されることについて、日本食道学会学術集会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FLIPは欧米では食道運動の評価に用いられているが本邦では薬事未承認の機器である。それゆえ、本邦では検査を施行している施設はなく、検査に関する情報を得にくい状況にある。加えて、今般の新型コロナウィルス感染症の蔓延により、米国での学会がオンライン開催になるなど、現地の検査機器業者や研究者との交流が難しくなってしまった。そのため、情報収集が難航し、限られた資料での研究準備を余儀なくされた。 本来であれば初年度に検査体制を確立し症例登録を開始する予定であったが、現在、検査法の習熟および検査計画を策定中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、米国の検査機器業者のアドバイスのもと、検査手技に関しての情報を収集し、検査機器の整備を行っている。検査体制について確立できる目途がついた時点で特定臨床試験としてIRBに申請を行い、研究を加速度的に推進できるよう準備する。現在、新型コロナウィルス感染症流行のため、被験者のリクルートには困難を伴うが、感染対策を行ったうえで研究を遂行できるよう準備を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症流行により、国際学会への出席が不可能であったため、本年度の旅費による出費が抑えられた。また、渡航できないことによる検査法の習得や情報収集の遅れから研究計画の遅れが生じ、本年度の検査施行ができないため物品費の使用や謝金のの支払いがなく、次年度使用額が生じている。 次年度では本年度で施行できなかった症例分も施行できるよう体制を整えていく。
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