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2020 年度 実施状況報告書

胆汁酸トランスポーターBSEP遺伝子改変マウスを活用したNASH病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17014
研究機関東京大学

研究代表者

奥新 和也  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師(病院) (40753918)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード非アルコール性脂肪肝炎 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / BSEP / MRP2 / 胆汁酸 / ノックアウトマウス
研究実績の概要

本研究では、ヒトNASHでのBSEP発現低下をより良く模倣したモデルとして高脂肪食摂取BSEPヘテロノックアウトマウスを作成し解析を行っている。
高脂肪食を摂取させたBsepヘテロノックアウトマウスでは、野生型マウスと比較して肝脂肪化および体重増加の抑制を認め、肝内総胆汁酸含有量も低下していた。これらの表現型が得られた機序として、胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の発現について、肝臓に加えて小腸において様々な変化が認められ、肝臓特異的に発現するBSEPの変化を起点として肝臓から腸管にわたって胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の多様な変化が生じることが明らかとなりつつある。
2020年度においては、本モデルおよびNASH病態の解明に加えて、Gut-Liver-Axisと称される肝臓と腸管の相互作用の機序本体を解き明かすことを目指して、小腸を含む各臓器での胆汁酸分画の変化、胆汁酸と深く関与する腸内細菌叢の変化を解析することを目的として、本モデルマウスからの検体採取の大半を行った。
さらに、当初予定していたBSEPヘテロノックアウトマウスに加えて、CRISPR/Cas9システムを用いてBSEPと類似の胆汁酸排出機能を有するトランスポーターMRP2についてもダブルノックアウトを行ったマウス(Bsep・Mrp2ヘテロノックアウトマウス)を樹立した。
Bsep・Mrp2ヘテロノックアウトマウスでは、BSEPヘテロノックアウトマウスでは保たれていた代償機構の破綻から、肝細胞にさらなるストレスがかかり、脂肪化および炎症の増悪、つまりヒトNASHの病態が再現されるのではないかと予想して、表現型そして胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の肝臓から腸管にわたる変化について検討を進めたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたBSEPヘテロノックアウトマウスに加えて、CRISPR/Cas9システムを用いてBSEPと類似の胆汁酸排出機能を有するトランスポーターMRP2についてもダブルノックアウトを行ったマウス(Bsep・Mrp2ヘテロノックアウトマウス)を樹立し、交配を進めている。本マウスでは、BSEPヘテロノックアウトマウスでは保たれていた代償機構の破綻から、肝細胞にさらなるストレスがかかり、脂肪化および炎症の増悪、つまりヒトNASHの病態が再現されるのではないかと予想して、検討を進めたいと考えている。
一方で、コロナ渦の影響により外注検査の受け入れ制限がかかり、当初予定していた腸内細菌叢の解析については、2021年度に繰り越しとなった。これらのサンプルの大半は採取済みであり、新年度早々に実施したいと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究では、ヒトNASHでのBSEP発現低下をより良く模倣したモデルとして高脂肪食摂取BSEPヘテロノックアウトマウスを作成し解析を行っている。
高脂肪食を摂取させたBsepヘテロノックアウトマウスでは、野生型マウスと比較して肝脂肪化および体重増加の抑制を認め、肝内総胆汁酸含有量も低下していた。これらの表現型が得られた機序として、胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の発現について、肝臓に加えて小腸において様々な変化が認められ、肝臓特異的に発現するBSEPの変化を起点として肝臓から腸管にわたって胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の多様な変化が生じることが明らかとなりつつある。
2020年度においては、本モデルおよびNASH病態の解明に加えて、Gut-Liver-Axisと称される肝臓と腸管の相互作用の機序本体を解き明かすことを目指して、小腸を含む各臓器での胆汁酸分画の変化、胆汁酸と深く関与する腸内細菌叢の変化を解析することを目的として、本モデルマウスからの検体採取の大半を行った。
さらに、当初予定していたBSEPヘテロノックアウトマウスに加えて、CRISPR/Cas9システムを用いてBSEPと類似の胆汁酸排出機能を有するトランスポーターMRP2についてもダブルノックアウトを行ったマウス(Bsep・Mrp2ヘテロノックアウトマウス)を樹立した。
Bsep・Mrp2ヘテロノックアウトマウスでは、BSEPヘテロノックアウトマウスでは保たれていた代償機構の破綻から、肝細胞にさらなるストレスがかかり、脂肪化および炎症の増悪、つまりヒトNASHの病態が再現されるのではないかと予想して、表現型そして胆汁酸および脂質代謝関連遺伝子の肝臓から腸管にわたる変化について検討を進めたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ渦の影響により外注検査の受け入れ制限がかかり、当初支出を予定していた腸内細菌叢の解析について、2021年度に繰り越しとなった。これらのサンプルの大半は採取済みであり、新年度早々に解析を実施したいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Change in hepatitis C virus positivity among needle-stick injury source patients: A 10-year experience in a Japanese tertiary hospital.2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Okushin, Rie Suzuki, Takeya Tsutsumi, Koh Okamoto, Kazuhiko Ikeuchi, Akira Kado, Chihiro Minatsuki, Yuka Minami-Kobayashi, Nobuhiko Satoh, Mahoko Ikeda, Sohei Harada, Kenichiro Enooku, Hidetaka Fujinaga, Hiroshi Yotsuyanagi, Kazuhiko Koike, and Kyoji Moriya
    • 雑誌名

      BMC Infectious Diseases

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] Heterozygous knockout of Bile salt export pump ameliorates liver steatosis in mice fed a high-fat diet2020

    • 著者名/発表者名
      Okushin Kazuya、Tsutsumi Takeya、Ikeuchi Kazuhiko、Kado Akira、Enooku Kenichiro、Fujinaga Hidetaka、Yamauchi Naoko、Ushiku Tetsuo、Moriya Kyoji、Yotsuyanagi Hiroshi、Koike Kazuhiko
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 15 ページ: e0234750

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0234750

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 胆汁酸トランスポーターBSEPのヘテロノックアウトは高脂肪食摂取マウスの肝脂肪化に対して抑制的作用を有する2020

    • 著者名/発表者名
      奥新和也、堤武也、小池和彦
    • 学会等名
      第106回日本消化器病学会総会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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