研究課題
本研究の目的は消化器病領域、自己免疫性疾患患者のexpression quantitative trait loci(eQTL)における遺伝子多型と実際のHLA発現量を検討し、疾患発症及び病態との関連を明らかにすることである。本年度は炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎(UC)160名、クローン病(CD)275名)患者からDNA検体を採取し、eQTLSNPであるrs9264942がHLA-Cの発現を制御するかどうかを検討した。また炎症性腸疾患(IBD)のrs2270191、rs3132550、rs6915986の3つのSNPを含む4つのSNPハプロタイプが日本人のIBDと関連するかを検討した。CD3e+CD8a+リンパ球におけるHLA-Cの発現は、rs9264942のTT遺伝子型よりもCCまたはCT遺伝子型の方が有意に高いことが明らかになった。さらに4つのSNPのうちTACCハプロタイプは、潰瘍性大腸炎(UC)発症と関連し、クローン病(CD)とは関連しなかった。またCGTTハプロタイプでは、UCに対する有意な防御能を有したが、CDに対する防御能は有意ではなかった。一方、CGCTハプロタイプではUCに対する防御能の有意差は消失し、CDに対する防御能は有意であった。以上の結果から、日本人において、eQTL SNPであるrs9264942がHLA-Cの発現を制御していることが示唆された。また、強い連鎖不平衡状態にある4つのSNPは、IBDの感受性と疾患の転帰に関連する特定のHLAハプロタイプ(HLA-C*12:02~B*52:01~DRB1*15:02)の代理マーカー候補である可能性が示唆された(Suzuki et al. Sci Rep. 2020)。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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