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2020 年度 実施状況報告書

早期食道癌の増殖・浸潤に関わる特異的マイクロRNA同定と治療戦略への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K17022
研究機関香川大学

研究代表者

藤原 新太郎  香川大学, 医学部, 寄附講座教員 (30612486)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード食道扁平上皮癌 / マイクロRNA / 内視鏡
研究実績の概要

進行した食道癌は予後不良であり、治療成績と生存率の向上には早期発見と治療が重要である。表在型食道癌の早期診断に内視鏡検査は重要であるが、観察者間内での存在診断と腫瘍の深達度・脈管浸潤の正確な診断判定は困難である。この課題の克服のため、表在型食道癌の正確な診断のための新たなバイオマーカーの開発が望まれる。本研究では,食道内視鏡的粘膜下層剥離術の術前に得られた腫瘍組織と隣接する正常組織のマイクロRNA(miRNA)の発現プロファイルを比較した。その中から複数のmiRNAについて食道扁平上皮癌細胞株(KYSE-150, KYSE-180, KYSE-850)を用いて機能解析を行った。その結果、表在型食道癌の腫瘍組織と正常組織では、27種類のmiRNAの発現が増加、21種類のmiRNAの発現が低下しており、異なるmiRNAの発現プロファイルを示した。なかでも腫瘍組織ではmiR-21-5pとmiR-146b-5pが有意に増加し、miR-210-3pが有意に減少しており、食道扁平上皮癌細胞株でも同様な傾向が見られた。またmiRNAの発現と食道癌の深達度および脈管侵襲との間には有意な関連が検出された。よって、これらのmiRNAが早期食道癌の腫瘍増殖・浸潤などのメカニズムに関与していることが推測された。そこで、食道扁平上皮癌細胞株にmiR-21-5pとmiR-210-3pのmimicsあるいは阻害剤などを用いて遺伝子導入の実験を実施した。その結果、miR-21-5pとmiR-210-3pが食道扁平上皮癌細胞株の細胞増殖と細胞浸潤に与える影響は限定的であった。これらの結果から表在型食道癌において異なるmiRNAの発現プロファイルを形成しており、診断バイオマーカーとし役割を果たす一方で、表現型への関与は限定的であることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の研究結果は研究論文として英文科学雑誌に掲載受理されたため。

今後の研究の推進方策

今後、早期の胃癌や大腸癌などその他の癌種に対しても同様な検討を行っている。またmiR-210-3pなど各種マイクロRNAが食道扁平上皮癌の細胞周期関連蛋白や細胞周期停止に関与するメカニズムについて検討を進めている。

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] MicroRNA Expression Profiles in Superficial Esophageal Squamous Cell Carcinoma before Endoscopic Submucosal Dissection: A Pilot Study2021

    • 著者名/発表者名
      Fujihara Shintaro、Kobara Hideki、Nishiyama Noriko、Hirose Kayo、Iwama Hisakazu、Masaki Tsutomu
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 4789~4789

    • DOI

      10.3390/ijms22094789

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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