研究課題/領域番号 |
20K17023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹野 歩 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (10812456)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | KPCマウス / 膵癌 / オルガノイド / 肝転移土壌 / 代謝変化 |
研究実績の概要 |
膵癌は非常に予後の悪い癌腫であり、その一因として肝転移の多さが挙げられる。膵癌は炎症細胞浸潤や細胞外基質の変化を介して、肝臓を転移しやすいものに変化させることが報告されている(肝転移土壌)。本研究では①KPCマウス肝臓の被癌部の代謝を解析すること、②KPCマウス膵癌オルガノイドの移植モデルを用いて肝臓の代謝を解析することにより、肝臓の代謝変化を介した肝転移機序を明らかにすることを目的とした。 ①について、KPCマウス、コントロールマウスにおいて肝臓の非癌部の遺伝子発現をPCRを用いて解析した。主に解糖系やペントースリン酸経路、TCA回路について解析したが、明らかな差は認めなかった。肝臓被癌部の代謝解析は困難と考えられた。そのため、肝臓へ転移指向性は癌細胞自体の特性によるものではないかと考え、高転移細胞株を用いて、解析を行行うことに方針転換した。移植転移モデルを用いて高転移細胞を作製できており、これらを用いて解析を行っている。 ② オルガノイド技術は癌幹細胞など生体に近い細胞集団を培養することができるとされる。当初はKPCマウスの膵癌オルガノイオを用いる予定であったが、多くのヒト膵癌オルガノイドの作製に成功したため、これを用いて解析を行った。ヒト膵癌のステージや生命予後といった臨床情報と、オルガノイドの形態と遺伝子発現の関連について検討を行い、それらの関連や特徴が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝転移土壌の解析が困難であった。そのため高転移株やヒト膵癌オルガノイドの解析に切り替える必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
KPCマウスの高転移細胞株、ヒト膵癌オルガノイドを用いて、トランスクリプトーム解析を行い、肝転移指向性のある癌細胞の特性を明らかにする。さらに、転移への関与が考えられる遺伝子をノックアウト、発現させ、移植手にモデルを用いて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
メタボローム解析、トランスクリプトーム解析などを行うに至らなかったため。
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