本研究は、播種や転移のリスクから生前の組織検体が得られにくい進行肝細胞癌について、死後の検体から組織を採取することでシークエンス情報を後方視的に確認する手法を用いて、生前治療経過中のctDNAと死亡時の病理解剖検体とを活用して①切除不能肝細胞癌の治療経過中に生じる腫瘍内ヘテロ不均一性、癌の進化、薬剤抵抗性獲得機序を解明した上で、②切除不能肝細胞癌患者に対するctDNAによる治療効果予測、体内腫瘍量モニタリングを行うことの臨床的有用性を明らかとすることを目標とした。 集積した全50症例についてctDNAのNGS解析による体細胞変異の検出とdPCRによる体内腫瘍量の継時的評価は終了した。 また、予定した死語検体5例は全て集積することができ、2021年度第1回文部科学省科学研究費新学術領域研究「先進ゲノム支援」の支援も受け、シークエンス解析は東京大学大学院新領域創世科学研究科メディカル情報生命鈴木穣研究室に委託し、最終年度は必要となるシークエンス情報を全て得ることができた。 今後は取得したシークエンス情報を用いてctDNAの臨床的有用性に関する総合的検討を進めていくとともに、腫瘍内、腫瘍間の空間的なゲノム情報による腫瘍内のヘテロ不均一性の理解、分子標的薬による治療が癌に引き起こす時間的なゲノム情報による癌の進化、薬剤抵抗性獲得機序についての検証を進めていく
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