研究課題/領域番号 |
20K17034
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
森町 将司 東海大学, 医学部附属病院, 臨床助手 (70838010)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵癌 / microRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2001年1月から2013年12月の間に東海大学医学部付属病院で行われた膵癌切除症例の検討を行った。予後追跡できなかったもの、病理組織診断にて膵管腺癌と判定できなかったものを除くと全てで230例であった。長期生存例、短期生存例より同stage、近い腫瘍径の物を数例ずつピックアップし、これらFFPE切片よりlaser capture microdissection を用いて膵癌細胞を選択的に回収しtotal RNAの抽出を行った。抽出したRNAに対してマイクロアレイによる網羅的解析を行ったところ長期生存例において有意に発現が低下しているmicroRNAを複数発見した。これらmicroRNAと関連する蛋白を各種data base、文献をあたりいくつか候補に挙げた。これら蛋白を用い、膵管腺癌切除後FFPE切片を免疫染色してみたところ私達はDDX5に着目した。DDX5の発現と腫瘍は様々な臓器で報告されているが、膵癌とDDX5の関連について報告したものはなかった。そこで膵管腺癌切除230症例に対してDDX5の免疫染色を行い臨床病理学的因子を比較検討した結果、DDX5低発現群では膵管腺癌において有意に腫瘍径、遠隔転移、TNM stageが進行していた。また、DDX5低発現群は有意に全生存期間が短かった。 2020年度、私達はDDX5と膵管腺癌の予後に関して報告を行った。現在、microRNAとDDX5の関連を膵癌細胞株を用いてcell proliferation assay、 PCR、Western Blottingを施行しており、また、他の候補の蛋白と膵癌についても比較検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、膵癌細胞株を用いたin vitro実験を行ったのち、絞り込んだmicroRNAと予後やリンパ節転移などの臨床病理学的因子との検討を行い、関連分子を明らかにし発表する予定であったが、昨年度の時点で関連分子であるDDX5と膵癌の報告がなされていなかったため、先行してDDX5と膵管腺癌予後の関連について免疫染色し発表を行なった。in vitro実験も佳境を迎えており全体の進捗状況としては大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに報告がないmicroRNAや関連分子を優先して研究、発表している。これらin vitro実験、臨床病理学的因子の検討は佳境を迎えており、今年度中に発表を行えればと思っている。候補に挙がった他のmicroRNA、関連分子についても研究を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設にある旧式の器具や余った抗体を優先して使用したため。次年度より適宜買い替えを行う。 コロナウイルスの影響で各種学会、勉強会が中止になったため。開催が再開されれば次年度より積極的に参加していきたい。
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