研究課題
まず臨床のデータとして1st lineで分子標的薬を導入された494例を対象として、食道静脈瘤出血の発生率およびその予測因子について後方視的に検証した。食道胃静脈瘤出血:静脈瘤出血は38例に認められ、累積出血率は1年7.4%、2年12.4%であった。また、静脈瘤出血を来した群は静脈瘤非出血群と比較して有意に予後不良であった(P=0.01)。また、投与前および投与1週間後のアンモニア値が測定されている289例を対象として、アンモニア値の推移および治療後2週間以内の肝性脳症の発生率およびその予測因子について後方視的に検証した。血清アンモニア値は分子標的薬開始前と比較して1週間後に有意に上昇し(56.7±30.6 vs. 81.1±48.7μmol/L、P<0.001)、治療開始後2週間以内に肝性脳症は13例(4.5%)に認められた。実験的検証としては分子標的薬の肝細胞のアルブミン産生への影響を調べるために肝細胞株であるHuh7細胞を用いて、レンバチニブを用いた治療群とコントロール群を用いて各3試料を用いてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社に依頼してCE-TOFMSおよびCE-QqQMSによるメタボローム解析を行った。結果としてロイシンは治療群でコントロール群と比較して80%まで低下し、必須アミノ酸であるスレオニンも70%まで低下していた。またアンモニア代謝に必要なグルタミンも70%まで低下しており、分子標的薬によるアミノ酸に与える影響を解明した。
3: やや遅れている
動物実験が行えていない状況であり、今後動物実験を中心に研究を進めていく。
理由:実験がやや遅れているため使用計画:研究経費の大半を消耗品費に充てる。消耗品費にはPCR、ウエスタンブロット、ELISA、免疫染色などの実験に充てられる。また動物実験ではXenograftモデルを用いる点、ヒト肝細胞株を用いる点で経費がかかると予想される。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
消化器・肝臓内科
巻: 7 ページ: 59-65
肝臓クリニカルアップデート
巻: 6 ページ: 45-48
臨床消化器内科
巻: 35 ページ: 834-838