まず、chk1、chk2、rosa26をターゲットとしたsgRNAとCas9タンパク(RNP)を培養細胞内へとトランスフェクションし、CRISPR/Cas9システムを利用して標的DNAの切断を試みた。この際にpuromycin耐性遺伝子とRFPの発現カセットをコードしたdonor DNAを同時に細胞内へ送達することで、 相同組み換え型修復(HDR)によるknock inを誘導し、puromycinならびにRFPを用いた遺伝子編集細胞の選別が可能となるようにあらかじめ設計した。初回のトランスフェクションでは、HDRの効率が低かったため、puromycinによる細胞選別が困難な状況であった。そこで、HDRと競合する非相同末端結合(NHEJ)反応を阻害するためSCR7ピラジンを培地へ加える方針とし、さらにsgRNAの設計についても再考した。新たに設計したsgRNAの切断効率を評価・確認した上で、改めて、RNPのトランスフェクションを行った。現在は、puromycinによるselectionを行っている最中であり、PCRとシークエンス解析による標的遺伝子の編集成否の確認を経たのちに、ccndbp1ならびにDNA損傷CP機構関連遺伝子(chk1、chk2、ATR、ATM、cdc25、p53、p21)の転写・発現解析をRT-PCR、免疫染色、ウェスタンブロッティングによって試みる予定としている。
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