研究課題/領域番号 |
20K17046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
澤田 つな騎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10831315)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GI-irAE / 粘膜関連細菌叢 |
研究実績の概要 |
GI-irAEのReal world dataを取得するために、名古屋大学医学部附属病院における臨床像を検討した。GI-irAEを発症後に、ICIをそのまま投与継続またはGI-irAE改善後にICI投与を再開した投与継続群とGI-irAE発症後に永続的にICIを中止した投与中止群に分類し予後を検討し、悪性黒色腫では、投与継続群とその他(投与中止群、非発症群)とで比較すると、投与継続群でOSの有意な延長を認めることを英文誌に報告した。 粘膜関連細菌叢の手技を確立するために、採取方法を検討した。GI-irAE症例の発症例が少なく、病態が類似しているとされる潰瘍性大腸炎症例において当院IRB承認のもと検体採取を行って検討した。胆管生検用ブラシ鉗子、ポリペクトミー用スネア鉗子、病変回収用ネット鉗子を用いて、大腸粘膜に付着した粘液を回収して解析した。DNA抽出はDNeasyPowerSoil Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用してDNAを単離した。ブラシ鉗子で回収した検体から最も単離できるDNA量が豊富であることが判明した。DNAはユニバーサルプライマーを使用し細菌の16sRNAV3-4領域をターゲットにして増幅し、AMPure XP磁気精製ビーズ(BeckmanCoulter、Brea、CA、USA)を使用して精製した。2回目のPCRサイクルを通じてバーコードを付し、産物をプールしてシーケンスライブラリを構築し、IlluminaMiSeqシーケンサーを使用してシーケンスした。これらの手技により大腸粘膜関連細菌叢の解析手技を確立した。 ICI投与患者においての検討を行う研究のための当院IRBの承認を得て、検体収集中である。また、IgA-Seq手技の確立をめざし、磁気細胞分離法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
FACSを用いてIgAコーティングされた細菌を分離したIgA-Seqを検討していたが、細菌による機械の汚染のおそれから、当研究施設の使用許可が下りなかったため、検討が行えず予定より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
FACSを用いた細菌分離のため、ディスポ―ザルの回路を用いる他施設のフォローサイトメーターの使用も検討したが、予算の都合がつかなかったため、磁気細胞分離法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
IgA-Seqの手技のためのフォローサイトメーターの使用のための資金であったが、前述の理由で施行できなかったため、現在は磁気細胞分離法 (MACS)による分離が可能か検討中であり、MACSを施行する資金として使用する。irAE症例の集積が当初の予定より少なく、現在集積中の症例の解析を次年度に行う。
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