研究課題/領域番号 |
20K17047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玉置 将司 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00796948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食道 |
研究実績の概要 |
アルコール摂取は食道扁平上皮がんの主要な危険因子である。アルコール代謝産物であるアセトアルデヒドは、DNA損傷や遺伝子変異、染色体異常を誘発し、食道発がんにおいて中心的な役割を果たす。近年、臨床検体を用いた解析においてアルコール多飲者における特徴的な突然変異パターンが明らかにされつつあるが、アセトアルデヒドにより誘発される遺伝子変異との関連は十分に検証されていない。本研究では、食道上皮にアセトアルデヒドを長期間曝露することにより誘発される突然変異パターンを明らかにすることを目的とする。初年度に正常のヒト食道上皮から樹立した食道上皮細胞(EPC2-hTERT)、およびALDH2*1/*2遺伝子多型保有者の食道上皮から樹立した食道上皮細胞(KEPC-HE1)を用い、アセトアルデヒド曝露細胞、アセトアルデヒド非曝露細胞を回収し、シングルセルクローニングしたのちDNAサンプルを回収している。今年度はさらに他のALDH2*1/*2遺伝子多型保有者の食道上皮から樹立した食道上皮細胞(KEPC-HE2)を用いて2か月間アセトアルデヒド曝露を行った。アセトアルデヒド曝露細胞とアセトアルデヒド非曝露細胞を用いてシングルセルクローニングした。また、野生型マウスおよびAldh2ノックアウトマウスを用いて、約12カ月間10%エタノールもしくは水を経口投与したのち食道上皮を採取した。食道上皮細胞を初代培養したのち、シングルセルクローニングを行っており、シングルセルクローニングした細胞を用いて全ゲノム解析を行い突然変異パターンを検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitro実験において用いる細胞(EPC2-hTERT、KEPC-HE1、KEPC-HE2)がヘテロな細胞集団である可能性があり、全ゲノム解析による突然変異パターンの検証に影響を及ぼす可能性が懸念された。そのため、EPC2-hTERT、KEPC-HE1、KEPC-HE2細胞をまずシングルセルクローニングし、その後、アセトアルデヒド曝露を行うことが好ましいと考えられ、in vitro実験を再度行っており、遅延している。in vitro実験については、すでに長期エタノール投与・非投与マウスの食道上皮を採取し、シングルセルクローニングを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセルクローニングしたEPC2-hTERT、KEPC-HE1、KEPC-HE2細胞を用いて、アセトアルデヒド曝露を行ない、シングルセルクローニングしたのち全ゲノム解析を行う予定である。また、in vitro実験では、エタノール投与マウス・非投与マウス食道上皮の初代培養細胞をシングルセルクローニングして得たDNAサンプルを用いて全ゲノム解析を行い、突然変異パターンを検証する予定である。
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