鳥取大学医学部附属病院、昭和大学江東豊洲病院、福岡大学病院、東京慈恵会医科大学附属病院、および東京大学の複数の施設において、倫理委員会の承認を経て研究が進行中である。 当該研究は、食道アカラシアおよびアカラシア類縁疾患の患者を対象にPOEM治療を受けた患者からの検体採取を進めてきた。現時点では、昭和大学江東豊洲病院消化器センターから30検体、福岡大学病院消化器外科から30検体、東京慈恵会医科大学附属病院から20検体を採取している。また、非食道運動機能障害の患者で食道切除術を受けた患者を対照群とし、食道癌患者からLES部の検体を鳥取大学附属病院で採取し、これまでに16検体を得ている。これらの検体採取は引き続き進行中である。 現在、採取された検体は東京大学の衛生学分野で解析を行っている。トランスクリプトーム解析を通じて、アカラシアとウイルス感染の関与、特にヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2など)のマイクロRNA発現解析およびその制御分子解析を行っている。 現時点では、特定のウイルス感染の兆候はまだ確認されていない。引き続き残りの検体について検討を進める予定である。また、検体採取においては、採取された検体の中にはRNAの分解が進み、解析が不可能となるものも多く見受けられ、POEM治療時のトンネル作成時に使用されるスプレーによる熱がその一因である可能性を考え、検体採取方法の改善を検討している。具体的には熱凝固が及ぶ前の鈍的剥離を多用し、その鈍的剥離部より生検(ジャンボ鉗子で大きく採取)することを考えている。また、遺伝子内にはubiquitinに関連する遺伝子を何個か認めている。ただ、GO解析やKEGGでは、遺伝子セットとして取り出せておらず、cutoff値によって、これらが取り出せないか現在試行錯誤中である。その他にはCYBERSORTを用いて、免疫細胞の比率を検討している。
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