研究実績の概要 |
排便は直腸平滑筋および肛門括約筋の協調運動により行われる。しかし、それらの障害により起こる便秘は、生活の質に影響を及ぼすとともに 近年、循環器疾患と脳血管疾患のリスク要因となり、生存率とも相関することが報告されている。 直腸平滑筋や肛門括約筋の収縮・弛緩には神経系の関与が報告されているが排便中枢の局在や役割など未だ不明な部分が多い。 昨年度の研究により逆行性トレーサーである仮性狂犬病ウイルス(PRV)を外肛門括約筋、内肛門括約筋および遠位大腸に感染させたところ、特に外側巨細胞性傍核(LPGi), Barrington核(Bar), 室傍核(PVH)への集積が顕著であった。以上の結果からはこれらの部位の排便への関与が高いと考えられたため、まずは野生型マウスを用いてBarをターゲットとして光遺伝学手法により肛門内圧を測定したところ光刺激と一致して収縮反応が起こることを確認した。現在、遺伝子改変マウス作成中であり、光遺伝学手法および化学遺伝学的手法を用いることで排便上位中枢の局在、役割の同定が可能であると考えている。
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