哺乳動物の心筋細胞は十分な分裂能力を持っていないため、心臓の再生が起こらないと考えられている。本研究では、メチル化ヒストン修飾H3K9me3が、心筋細胞の分裂阻害に関わるかどうかを検討するために、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて成体マウスの心筋細胞からH3K9me3を消去する実験を行った。成熟心筋細胞でH3K9me3を取り除くと、一部の細胞周期遺伝子の発現が上昇し、H3K9me3が心筋細胞の分裂制御に関与することが示唆される。本研究では、心筋細胞分裂を制御するメカニズムの一部として、H3K9me3の関与を明らかにした。
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