研究課題/領域番号 |
20K17073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉田 純一 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (70755694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 細胞間相互作用 / 心不全 / ミクログリア / オプトジェネティクス / 脳幹 |
研究実績の概要 |
心不全は、心臓が原因で全身の血流に障害が起きる疾患であり、心不全患者では脳卒中やうつ症状、認知機能低下が起こりやすいと報告されている。心臓と脳の間では多くの情報のやり取りがされており、心機能低下により引き起こされる脳機能の低下により、さらに心不全の病態が進行するという負のループが想定されている。本研究では、心臓と脳を軸にした相互作用を詳細に解明することで、心不全の病態管理を適切に行い、心不全患者の予後の改善に寄与する治療標的を見つけることを目的とした。 マウスを用いた心不全モデルを準備し、脳に起こる変化について検討した。脳を構成するニューロンやアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア、炎症細胞、血管構成細胞などを含めて、網羅的に検討し、活性化あるいは不活性化の程度について検討した。さらに個々の細胞腫に注目するだけでなく、細胞間相互作用を検討し、心不全において特異的に生じる、異種細胞間のネットワークを同定した。 心不全時の脳の状態の変化について局所的な解析のために、脳の病理サンプルについて検討を行ったところ、限局的な変化を認め、心不全に伴う全身合併症を引き起こす原因となっている可能性を考えた。その結果、脳幹部および高次機能を司る部位の両者において、心不全の病態の変化を修飾する部位が存在することを同定し、新しい治療標的ではないかと考えた。現在、同部位に対する介入方法について、特にオプトジェネティクス等の方法を用いて検討を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全時の脳の変化を捉えることができた。 今後の病態理解への足がかりとなることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
心不全時のマウスの脳の三次元データを集め、画像解析システムを構築し、詳細に解析する予定である。 また、心不全ストレスを感知して脳に伝える経路の同定を行う予定である。心臓の感覚神経は迷走神経を上行する経路と脊髄を介して上行する経路が知られている。脳へストレスが伝わる経路を同定することで、新たな治療標的を見つけることを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、実験に使用するマウスの繁殖の計画に遅れが出たため、次年度に実験を行う予定とした。
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