研究課題
予想に反して、周波数解析を基に定義された局所興奮のタイミングと、従来のdv/dtに基づく局所電位のタイミングによって作成された、Activation mapには、差が認められなかった。しかしながら、正常豚における、心内電位のMappingにおいて、周波数の分布と、電位高の分布に大きな差があることが認められた。従来正常心筋の定義は電位高によってされてきたことを考えると、この分布の違いは、電位の周波数が電位高とは異なる情報を持つことが、示された。臨床における人間のデータでも確認したところ、同様の傾向が得られ、5%ile-95%ileを正常と定義した際に、左心房と右心房のPeak-frequencyの中央値はそれぞれ、323[253-411]Hzと384[301-456]Hzであり、電位高の中央値は、それぞれ3.25[1.37-5.67]mVと3.54[1.69-6.12]mVであり、右房の方が大きかった。右房と、上大静脈を比較した際は、上大静脈でより周波数の高い小さな電位が記録され、左房と肺静脈を比較した際は、肺静脈でより周波数の高い小さな電位が記録されることがわかった。これは、正常心筋の存在と、心筋の量に依存していると考えられた。また、瘢痕領域と、健常領域でも比較したところ、予想通り瘢痕領域ではpeak-frequencyも電位高も小さく、献上組織では、peak-frequencyも電位高も大きな電位が分布し、瘢痕組織内の不整脈基質となる領域は、peak-frequencyは高く、電位高は小さな電位が分布することが確認された。電位高とPeak-frequencyが持つ意味は必ずしも一致しているわけではなく、双方の情報を相補的に組み合わせることで、より洗練された不整脈治療が可能になる可能性が示唆された。
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Heart Rhythm
巻: 19 ページ: 1792~1801
10.1016/j.hrthm.2022.07.026