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2020 年度 実施状況報告書

慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療目標設定のための重症度スケールの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K17075
研究機関名古屋大学

研究代表者

足立 史郎  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60782430)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 肺高血圧症 / 重症度評価
研究実績の概要

肺動脈末梢の血栓を視認できる「CTEPHプロトコール」を用いたCTの精度検証のため予備研究を行った。多施設観察研究として34人の急性肺塞栓患者を登録し、1年後の血栓の残存程度をCTEPHプロトコールにて確認した。これは研究計画に記載のあるmodified CT obstruction index(mCTO)により評価をした。その結果、medianのmCTOは11.9%であり、11人はほぼ消失していたが、そのほか23人には末梢の血栓が残存していることがわかった。これはこれまでの報告より多く、本プロトコールが末梢の血栓まで視認できていることを示している。また、1か月後にCTで残存血栓がない群は1年後も血栓の残存はなく増悪することはないと考えられた。一方で1か月後に血栓が残存している群はそのほとんどが1年後にも血栓が残存していることが分かった。加えて心エコー図検査によって1か月後の推定右室圧は発症時に比較し有意に低下をしているが、1年後の推定右室圧は変化がないことが解明された。つまり、1か月程度の経過で慢性期の血栓の残存程度および右室圧は固定をするのではないかと考えられた。本知見はCTEPHプロトコールの有用性と肺塞栓後症候群およびCTEPHの発症予測をするための具体的なスクリーニング戦略に重要なものだと考えられ、学会発表を行ったため論文作成中である。
現時点ではコロナ禍のため予定入院などの抑制がかさなりCTEPHの登録が減少しているが、本年度はCTEPH患者に対するCTEPHプロトコール撮像を継続して蓄積し、mCTOを用いた重症度スケールの作成や右室機能解析を行うことを目標とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナにより入院抑制、紹介抑制があり症例の蓄積には遅れがでているのは自明の事実である。しかしCTEPHプロトコールの検証および肺塞栓症からCTEPHへ進展する現状を報告する前向きに研究は無事進行し、おおむね予定通り前半の研究を終え論文作成をしている。

今後の研究の推進方策

現在COVID-19第4波到来により、患者紹介はさらなる減少が見込まれる。このためCTEPH患者の予定数を到達しない可能性がある。加えて、COVID-19患者のCT撮像により一般のCT撮像枠が減少しており、予定通りのプロトコール撮影が蓄積しない可能性がある。その際はすでに撮像した画像を用いて本年度の研究目的を急性肺塞栓症からCTEPH発症するリスクを検証することへ変更する可能性がある。問題なくCTEPH患者の紹介があれば予定通り重症度スケールを作成する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19により研究の遅れがあるため設備投資費用を持ち越す。また学会がWeb開催となったため宿泊費や交通費が発生しないためそれは未使用となっている。論文投稿にかかわる費用は1つすでにアクセプトされたものがあるため本年度分として使用する予定とした。また患者数も集まりつつあるため設備投資を行う。また学会などで使用しなかった分はさらなる論文投稿費用へ回す予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Impact of higher detection rate of residual pulmonary thromboemboli one-year after acute pulmonary embolism: modified CT scan imaging method with modified CT obstruction index2020

    • 著者名/発表者名
      足立史郎
    • 学会等名
      European Society of Cardiology

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公開日: 2021-12-27  

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