研究実績の概要 |
RELMβが、eNOSリン酸化の抑制に関与しているか検討した。HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)及びEOMA cell(マウス血管内皮由来細胞系列)にRELMβを添加し、インスリンの存在下、非存在下でNOの産生量の定量測定を行った。HUVECおよびEOMA cellでRELMβの與良依存的にNOの低下が認められた。HUVECを10cm dishに播種し、サブコンフルエントにした後に、RELMβを添加後、経時的なeNOS及びP-eNOSさらに、各タンパクの発現量をWestan blot法を用いて検討した。RELMβを添加することで、経時的にNOの産生が低下、eNOS、P-eNOSの低下が認められた。RELMβによりLKB1,AMPKリン酸化が抑制されeNOSリン酸化が抑制された。以上より、RELMβによるeNOS/NO pathwayを介した、血管内皮機能低下が示唆された。 マウス大動脈のNO依存性内皮弛緩反応に関しては、RELMβノックアウトマウスの数の確保に時間がかかり、現在実験継続中である、上記結果とともに論文投稿予定である。 マクロファージにおいて飽和脂肪酸負荷や炎症刺激にて、RELMβの発現が増加すること、脂肪細胞の泡沫細胞化、炎症惹起や血管増殖等によって動脈硬化を発症・進展させることが明らかになっているが、今回の我々の研究結果から、RELMβがeNOS/NO pathwayを介した血管内皮機能の低下をきたしていることを示せた。血管内皮機能障害は動脈硬化の第一段階と言われているが、RELMβが動脈硬化を進展させるメカニズムの一つとして考えられ、心血管イベントの予測因子になる可能性がある。そのため、現在血中RELMβ濃度測定が血管内皮機能のバイオマーカー、心血管イベントの予測因子になりえるか引き続き解析中である。
|